研究課題
【研究目的】地域におけるエンド・オブ・ライフケア・ファシリテータ(EOLCF)養成プログラム(仮)の暫定版を試行し評価し、精選する。【研究方法】Mix methodの研究デザインを用いる。1)対象:A市在住で「豊かなエンド・オブ・ライフを過ごすためのワークショップ」に参加した市民を対象とする。2)データ収集法と分析:(1)プログラム評価:プログラム各回終了後の研修内容と理解度、資料の是非、時間設定についての評価を定量的に収集した。(2)プロセス評価:プログラム各回終了後の「振り返りシート」(本研究で作成)で自由記述を収集し、内容分析を行った。(3)影響評価:目標の観点から照らして参加者がどのように変化したかという点について、①生き方尺度(板津1992)②ソーシャル・サポート尺度(岩佐ほか2007)を用いて、実施前後の変化を定量的に収集し分析した。【研究成果】①プログラムは9割の参加者が満足したと回答した。②プロセス評価においては参加者の学びの共通点は自分自身が「望ましい死」について考え、身近な人と対話する経験を通して「自分自身の考えがあいまい」であり「誰かと話したことがなかった」「真剣に考えたことがなかった」と自分自身を振り返る機会となっていた。③影響評価結果は、生き方尺度、ソーシャルサポートがともに得点が上昇した。プログラムをとおして、社会・他者との関わり合いのなかで主体的に生きていく態度が醸成され、エンド・オブ・ライフにおいては「家族」以外の存在からのサポートが重要な要素になる可能性が示唆されたと考える。この結果から、生と死について考える地域文化の創出には第一に、「話し合える」「分かち合える」「支えられる」という実感(ソーシャル・サポート)が上昇すること、第二に、他者と共存しながら自分らしく生きる態度(生き方尺度)が上昇することが一つの指標となることが示されたと考える。
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