研究課題/領域番号 |
25671017
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
筒井 邦彦 香川大学, 医学部, 准教授 (50335874)
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研究分担者 |
片山 陽子 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 准教授 (30403778)
合田 文則 香川大学, 医学部附属病院, 准教授 (90294769) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 胃蠕動運動 / 携帯型超音波機器 / 胃瘻栄養 / 半固形栄養 |
研究実績の概要 |
前年度までは在宅療養者、施設療養者における胃蠕動運動計測のため、携帯用超音波機器での計測方法の確立を目指してきた。そして長期臥床患者の胃蠕動運動の計測方法の検討を行った結果、携帯用機器では胃前庭部の測定(収縮率、収縮回数)が可能であることがわかった。まず健常者を対象に同様の計測を行い、半固形栄養体の方が液状栄養体に比較して胃蠕動運動が惹起されるとの成果から、胃運動機能計測はまず慢性期病棟の入院患者を対象に研究を進めることとした。慢性期病棟において40例の胃瘻栄養患者に対し、栄養剤注入後の胃運動機能測定を行った。内訳は男性17名、女性23名、年齢38-96歳(平均77.5)、液体栄養剤20名、半固形栄養剤20名であった。収縮率において半固形栄養の方が有意に高値であり、経胃瘻栄養患者の計測結果おいてにも半固形栄養体の方が胃の収縮は強くなることが示唆された。なお40例と少数ではあるが誤嚥性肺炎の有無を結果としたオッズ比から、MI値(収縮率×収縮回数)が高いほど肺炎になりにくいことが示唆された。また在宅療養者の誤嚥性肺炎発生状況調査について、過去2年間において液状栄養体を使用中に誤嚥性肺炎を併発した在宅療養患者9名についてその後の期間(2年~6か月間)の誤嚥性肺炎の再発状況を観察した。その結果、液状栄養体から半固形栄養体に変更した6名全例で誤嚥性肺炎の再発が認められなかった。一方液状栄養体を継続した3名のうち2名は誤嚥性肺炎の再発を認め、液状栄養体から半固形栄養体への変更は誤嚥性肺炎の再発予防に効果があると推察された。施設入所者、在宅療養者において、携帯用超音波機器で簡易にかつ非侵襲的に胃蠕動運動を評価することにより、液体栄養剤では蠕動運動がうまく起こらない患者では半固形対栄養剤に変更することにより、肺炎を起こしにくくなる可能性が示唆された。
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