研究課題/領域番号 |
25671022
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
呉 小玉 兵庫県立大学, 地域ケア開発研究所, 教授 (70411949)
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研究分担者 |
山本 あい子 兵庫県立大学, 地域ケア開発研究所, 教授 (80182608)
佐藤 文子 千里金蘭大学, 看護学部, 准教授 (80512417)
中田 涼子 神戸常盤大学, 保健科学部, 講師 (80554229)
黒野 利佐子 神戸常盤大学, 保健科学部, 准教授 (90352921)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 在日外国人 / 国際まちの保健室 / 異文化適応 / 健康増進プログラム |
研究実績の概要 |
本研究は、日本在住の外国人がかかえる障壁を緩和し、保健医療福祉サービスへつなぐ一助となるべく、気軽に相談できる「国際まちの保健室」の開設を通して、来室する外国人の健康ニーズを把握し、在日外国人にも対応した「健康促進プログラム」を開発することを目的としている。 研究実施計画として、①昨年度開設した多言語に対応できる「国際まちの保健室」の運営と実施、②昨年度実施から得た示唆や課題を解決するための新たな取組、③来室した在日外国人を対象にした健康ニーズに関する調査という3本柱を、計画的に同時進行で行い、それぞれの実施結果を統合・整理し、在日外国人の個人に合わせたオリジナルな「健康増進プログラム」を構成するための基礎資料の整備を図ることを予定している。 当該年度では、昨年度の課題を踏まえて、「国際まちの保健室」は、拠点型9回、在日外国人が通いやすい場所での出張型3回計12回開催した。他職種との連携を図りながら、在日外国人と地域住民同士の交流の促進にも配慮した。健康ニーズ調査に関して、倫理審査が承認され、計画通りに調査することができた。また、来室者の口コミや外国人ができたコミュニティ活動に積極的に参加し、人的ネットワーク作りや在日外国人に広く国際まちの保健室を知ってもらい、参加にきてもらうように努力した。年間の活動を通じ、毎回開催した後、相談問題の記録やボランティア看護師のカンファレンス内容より、外国人の健康問題や明らかになった点と今後の解明や検討を要する点の整理を行い、成果を実践報告書としてまとめることができ、活動結果に基づき、在日外国人のための「健康促進プログラム」案を開発した。また、在日外国人の相談内容から明らかな異文化適応や生活習慣から生じた問題の特徴が認められたため、次年度の介入研究につながる基礎資料として、成果を活用していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、日本在住の外国人がかかえる障壁を緩和し、気軽に相談できる「国際まちの保健室」の開設を通して、来室する外国人の健康ニーズを把握し、在日外国人にも対応した「健康促進プログラム」を開発することを目的としている。当該年度においては、昨年度の課題を踏まえて、「国際まちの保健室」は、拠点型と出張型組み合わせて開催した。健康ニーズ調査に関して、倫理審査が承認され、計画通りに調査することができた。また、年間の活動を通じ、毎回開催した後、相談問題の記録やボランティア看護師のカンファレンス内容より、外国人の健康問題や明らかになった点と今後の解明や検討を要する点の整理を行い、成果を実践報告書としてまとめることができた。また、次年度の「健康増進プログラム」の開発に向けた準備(健康増進プログラム実施するためにメディカルやソフトといった環境を整えたこと、効果を評価するための質問紙項目の作成・介入対象のアプローチ等)を進めることができた。よって、当初の研究計画通り遂行できており、現在までの達成度としては、おおむね順調と評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
2年間の活動結果に基づき、当該年度の研究成果を踏まえ、「国際まちの保健室」に来室する外国人の健康意識・健康状態・体力を促進する「健康増進プログラム」の効果をテーマに研究計画及び倫理申請の書類をすでに提出しており、倫理審査が承認された後すぐ「健康増進プログラム」案の実施するために準備が整えている。 今年は、「国際まちの保健室」が実施してきた内容を再検討し、在日外国人が、自分の健康行動や状態及び体力の変化など、健康意識を確認し、強化できるプログラムとして、兵庫県健康財団が開発した「健康増進プログラム」を「国際まちの保健室」版にアレンジしたもので試みることを目的としている。 研究実施対象者について、本研究所拠点で開催する「国際まちの保健室」に来室した在日外国人のうち、参加同意を得た18歳以上及び自己判断力があるもの20~30名程度を介入対象者とする(本研究で使用する健康増進プログラムは、国際まちの保健室では初めて実施するため、これまでに国際まちの保健室を利用したことのある人も対象者に含める)。開発した「健康促進プログラム」実施前後のデータを対比し、プログラムが果たす役割・機能や継続の可能性を明らかにしていく。 統計的分析には、統計ソフトSPSS19.0を用いて行う。健康増進プログラムの実施前後の回答傾向や体力測定等の変化等は対応のあるt検定を用いて検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の研究費は、介入研究にかかるプログラム内容の外国語版の作成、評価用資料の作成、データ入力にかかる人件費、研究成果を世界的に発信するための国際学会参加費用の支出が主になる。研究は「国際まちの保健室」の開催実践の中に成り立つものであるため、開催するために、その必要経費の支出が大部分を占めることになる。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費90,000円、旅費100,000円、人件費300,000円、その他10,000円、計500,000円、間接経費150,000円
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備考 |
国際まちの保健室の開催情報、ボランティア看護師の募集、外国人への情報提供、活動した報告内容等をホームページに載せている。
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