研究課題/領域番号 |
25671024
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研究機関 | 大分県立看護科学大学 |
研究代表者 |
村嶋 幸代 大分県立看護科学大学, 看護学部, その他 (60123204)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 保健師 / 修士課程 / 保健師教育 / 能力 / カリキュラム / 研究能力 / 国際的視野 / リーダーシップ |
研究実績の概要 |
1.修士課程で育成する保健師像と能力の明確 1)研究班・英国・米国、それぞれが打ち出す公衆衛生看護に求められる能力の比較:米国、英国の能力と研究班作成の能力を比較し、補強すべき点として、「資金調達」「サービス提供の契約」「プロジェクト運営、品質改善」「利害関係・調整」をあげ、項目を追加した。 2)研究班と「保健師に求められる実践能力と卒業時到達目標」(厚生労働省:平成23年)の比較:厚労省項目と研究班作成項目を比較し、①厚労省項目が研究班作成項目に含まれていない項目があり、保健師に求められる実践能力が網羅されていない可能性があること、②厚労省の項目にはなく研究班作成項目のみに記載された項目は、大学院教育における実践能力として特徴的なものとして考えられることの2点があげられた。 2.英国と米国における公衆衛生看護高等教育についての情報収集:世界でも公衆衛生、及び公衆衛生看護専門家の高等教育に長い歴史を持つ二カ国の状況をまずは知る必要があると考え情報収集をした結果、英国では特に「個」をみる力を養うことを大切にし、米国では「個」だけにとどまらず、「政策提言」までできる人材を育てようとしている傾向がみられた。 3.「保健師教育における技術項目と卒業時の到達度」調査: 保看統合コース5大学357名、保健師選択コース6大学204名の計561名を対象に、郵送による無記名自記式質問紙調査を実施した。卒業時到達度をツールとして用いて比較した結果、「地域の健康課題の明確化と計画・立案する能力」、「地域の健康推進能力を高める個人・家族・集団・組織への継続支援と協働・組織活動及び評価する能力」では保健師選択コースが保看統合コースに比して有意に高かく、「地域の健康管理能力」、「地域の健康水準を高める社会資源開発・システム化・施策化する能力」、「専門的自律と継続的な質の向上能力」では差が見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.修士課程で育成する保健師像と能力の明確化:研究班が作成した大項目、中項目、行動目標に対して比較検討を行った結果、厚労省の項目が研究班作成項目に含まれていない項目があり、保健師に求められる実践能力が網羅されていない可能性があることが分かった。さらに研究班作成項目を精査し追加すべき項目を洗い出していく必要がある。さらに、実践能力のレベルは大学院と学部では異なり、特に地域レベルの能力に違いが出てくることを確認した。 2.修士課程の保健師教育の評価効果:平成26年度は「保健師教育における技術項目と卒業時の到達度」調査を保看統合コース、保健師選択コースの大学を対象に郵送による無記名自記式質問紙調査を実施した。平成27年度は、平成26年度研究に協力を頂いた学生を対象に、2回目の調査として12 月頃行う予定である。 3.日本及び世界への発信:日本地域看護学会(横浜:8月1日~2日)及びThe 6th international conference on community health nursing research( ICCHNR:ソウル:8月19日~21日)にて、現時点で明らかにされている研究結果について発表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1.修士課程で育成する保健師像と能力の明確化:研究班が作成した行動目標に対して達成するために必要な能力・技術・理論を整理していきたい。改定された行動目標・能力・技術・理論を基に新しいカリキュラムを構築する。 2.修士課程の保健師教育の評価効果:今後は、研究班作成項目の洗練とそれを基にしたカリキュラムを作成する。評価指標を明確化するにあたり、評価視点を明確化していく必要がある。また、異なるカリキュラム(保看統合カリキュラム・保健師選択制カリキュラム・大学院教育)で保健師を養成している大学への調査から自己の保健師能力の評価の第2回目を終わらせる。その結果を分析することによって教育形態が異なる群でどのように卒業・修了時の保健師能力に差が出るのかを明らかにする。 3.日本及び世界への発信:この研究で明確になったことを世界に発信するため、日本国内の学術雑誌と海外の英文雑誌への論文投稿を行う予定である。また、世界で活躍する保健師とのネットワークを構築するために海外の保健師関連の学会へ出席する予定である。
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