大学院修士課程教育で育成する保健師像とその能力を明確化することを目的とした。英国と米国の公衆衛生看護学・地域看護学の大学院教育および保健師の能力に関する海外文献を収集・整理し、それまでの討議や厚生労働省が示した「保健師教育における技術項目と卒業時の到達度」の項目とを比較検討することにより、修士課程における保健師教育およびその能力の「国際的な標準化」を目指して能力を抽出した。 その結果、修士課程で教育する保健師像の共通要素は、①研究的素養、②国際的視野、③将来リーダーとなり得る人材であることであった。 また、実践能力としては、①実践的研究能力(社会情勢と地域の健康に応じた公衆衛生看護の研究遂行能力)、②保健師としての基本姿勢(地域の人々の基本的人権である健康と生活を護る公衆衛生看護専門職としての責務を遂行する能力)、③個人・家族支援能力(個人・家族レベルの健康問題を解決する能力)、④地域支援能力(地域特性に基づき、集団・地域を対象としたアセスメント・介入・評価を行う能力)、⑤システム開発能力(地域の健康水準を高めるために地域特性に応じて事業化・施策化・政策化をする能力)、⑥健康危機管理能力、⑦「個人・家族」「地域」「システム」をつなぐ能力の7つが抽出された。 明らかにした保健師像と能力は修士課程での保健師教育を行う上で公衆衛生看護学のカリキュラムの構築につながると期待される。
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