研究課題/領域番号 |
25671027
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
岸 恵美子 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (80310217)
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研究分担者 |
森田 展彰 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10251068)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高齢者虐待 / 養護者支援 / プログラム開発 / プログラム評価 / 介護者 |
研究概要 |
1.虐待行為の背景、動機、行為のプロセスの分析 文献検討により、養護者が虐待に至る背景、動機、また虐待行為のプロセスを分析し、研究者間で検討した。養護者が虐待に至る要因についてはこれまでの調査から複数の要因が明らかになっているものの、そのプロセスについてはこれまで十分分析されたものがないため、来年度は介護者への面接調査を実施することにより、虐待行為に至るプロセスを明らかにすることとした。またプロセスを分析するに当たり、DVや児童虐待の場合の行為に至るプロセスを研究者間で検討した。 2.教育プログラムおよびマニュアル作成 1.の結果を踏まえて、研究分担者の森田氏のDV加害者プログラムの研究の成果、児童虐待予防の専門職向け教育プログラムを参考に、高齢者虐待を予防するための養護者支援プログラムの内容の検討を行った。申請者らの高齢者虐待に関する研究の蓄積、文献検討から、高齢者虐待と児童虐待、あるいはDVの共通点、相違点を検討してプログラム作成に反映させた。プログラムは、高齢者との尊重しあう関係、高齢者の疾病や思いを理解すること、介護という行為による力関係の問題などについて、場面を想定して理解してもらい、高齢者に対して、あるいは虐待行為に対しての「認知の変容」を目指すこととした。認知行動療法については有識者の講義を受け知見を深め、うまくいかないパターンとしての暴力的な行為とそれが与える影響をプログラムの中でとりあげ、そうならないための具体的な方策として認知行動療法的な枠組みやソーシャルスキルについて示していくこととした。対象は、虐待をしてしまうのではないかと不安に思っていたり、これまでの親子関係、夫婦関係を振り返りたいと考えている介護者を対象とすることとし、内容に高齢者虐待に特徴的なことを含めるため、介護者への面接調査の結果をプログラムに反映させることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、文献検討、DVや児童虐待の加害者プログラムを参考に、高齢者虐待を軽減あるいは予防するための新たな養護者支援プログラムを検討した。しかし養護者が虐待行為に至るプロセスに関する研究成果が少なかったため、来年度、実際に介護者となった人たちに、介護で困難なことや困難を乗り越えたプロセス、要介護者への否定的感情やそのコントロール方法などを面接調査で明らかにし、それを踏まえてプログラム内容を検討する必要があると考えたため、プログラムの完成にはいたらなかったという点ではやや遅れているが、来年度のプログラムの実施のために重要なプロセスであったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
現在検討している養護者支援プログラムを、介護者への面接調査の結果を踏まえてさらに精錬させ、現在介護している介護者に実施する。現在検討を進めているプログラム評価指標により、プログラム参加前後の介護者の状態を比較することにより、プログラムの効果を評価する。評価結果からさらにプログラムを修正し、別の介護者に実施することにより、プログラムの完成度を高める。
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次年度の研究費の使用計画 |
介護者への面接調査を実施することを計画に追加したため、プログラム完成に至らなかったので、プログラムの一部として予定していた、事例作成、DVDあるいはパワーポイント作成にかかる費用が支出されなかった。 プログラムの一部である、DVDあるいはパワーポイントを作成する際に費用が発生する。また新たに計画として追加した、介護者への面接調査の謝礼およびテープ起こしのために費用が発生するため、繰越金はその費用に充当する予定である。
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