本研究では、養護者の虐待行為の軽減および予防のために、3年間で以下を実施した。 平成25年度は、文献検討により、養護者が虐待に至る背景、動機、また虐待行為のプロセスを分析し、研究者間で検討した。またプログラム開発にあたり、高齢者虐待と児童虐待、あるいはDV(配偶者間暴力)の共通点・相違点を検討し、プログラム作成に反映させた。一方で、介護者へのインタビューによる質的調査により、介護中に経験する様相とそのプロセスを分析・検討しプログラム作成の基礎資料とした。さらに、DVの加害者プログラムの研究の成果、申請者らの高齢者虐待に関する研究の蓄積、文献検討や調査の蓄積から、養護者の教育プログラムおよびそれを用いる実施者のためのマニュアル、視聴覚教材を作成した。 平成26年度は、開発したプログラムを、リスク要因をもつが、虐待行為を行っているといえない養護者や自分自身の介護を振り返りたいと考えている養護者に実施後の評価をするための項目を検討した。その後、作成したプログラムを予備的に施行し、研究者間で意見交換を行うことや参加者の評価、意見、反応をみて、プログラムおよびマニュアルの修正・追加を行い、さらにプログラム・マニュアルを精錬させた。 平成27年度は、開発したプログラムを、介護者を支援するボランティア等に実施することの有効性を検証するため、認知症サポーター養成講座修了生を対象に実施し、評価した。また、すでに介護を終了した人を対象に、映像教材であるDVDを視聴してもらい、その有効性を質問紙調査とグループインタビューで評価した。上記の実施後に、プログラムおよびマニュアルを修正した。
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