本年度は大きく分けて二つの成果があった。 一つは、モバイル音声案内システムに関する成果である。GoogleMapsの音声案内やAndroidの標準マップなどの既存のスマートフォン向けの地図アプリにおける音声案内システムでは,細かく決められた経路に沿って右左折を音声で伝える形(Turn-by-turn方式) で案内を行うため,ユーザは自由に道を選択することができない. また,経路が短く入り組んだ道ではGPSの誤差の影響を受けやすくなり,かえって案内が分かり辛くなる場合がある. 一方で「目的地の方向と距離のみを案内する(Radar 方式)」も存在する. しかし,示された方向に道がない場合がある。昨年度までは、Turn-by-turn 方式とRadar 方式の案内を組み合わせ,その経路上に中間点という小目的地を配置し,目的地までそれらを辿っていくように案内をすることによって,問題の解決を図った. しかし,中間点が近い場合,GPS の誤差の影響を受けやすくユーザに間違った案内をしてしまうことがある. さらに中間点の位置がわかりにくい場合があるという問題があった. これらの問題の解決のために、本年度は、ランドマークグラフの作成とランドマークグラフを用いた中間点の生成を提案した. また、デジタルサイネージ型の音声道案内システムに関する成果である。具体的には、独自の音声対話エージェント技術MMDAgentと電子地図技術Focus+Glue+Contextマップを活用した。この研究に関連する実証実験システムを、平成30年3月14日から3月28日まで、名古屋市の大型複合施設オアシス21にある栄バスターミナルにおいて、名古屋市交通局・名古屋市住宅都市局などと連携し、実施してきたが、テレビ4社、新聞4社、ラジオ1社、多数のWebニュースで報道されるなど、大きな反響を得る成果を得た。
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