研究課題
若手研究(A)
本研究は,X線CT画像と写真を利用した花の3次元モデリング手法に関するものである.具体的には,1)花のX線CT画像を領域分割して3次元モデルを構築できる技術,2)複数の写真から花表面の模様(テクスチャ)を合成する技術,及び,3)生成したモデルの直感的な可視化環境の確立を目指すものである.提案法はX線CT画像を応用するため,従来法では困難であった遮蔽の多い花のモデリングが可能になる.構築した3次元モデル群は,直観的な可視化環境と統合して公開する予定であり,研究成果は,コンテンツ作成・研究・教育・趣味など幅広い分野での活用が期待できる.25年度は,以下のサブ課題に注力した.(a)25年度前半(CTの導入前)は,一般的な三次元画像処理の研究として『曖昧な境界を持つ領域のための輪郭線制約を用いた領域分割法』を研究開発した.この手法を用いると,ユーザが配置した輪郭線制約が満たされ,画像の強いエッジを通るような境界面が自動生成される.境界面計算にはHermite Radial Basis Functionのゼロセットを活用するモデルを提案した.この成果は,Computer Graphics Forum (Eurographics 2013)に採録された.(b) 25年度後半(CTの導入前)は,『CT画像から花の構成要素(茎・花托・雌しべ・雄しべ・花弁・がく片)を半自動的にモデリングできる手法』を実現した.具体的には,花の各要素に特化したユーザインタフェースと動的輪郭モデルに基づく曲線・曲面計算法を拡張した手法を提案した.提案手法では,比較的単純な構造を持つ離弁花ならば,数十分のモデリング時間で三次元モデルを構築できる.現在提案法の発表準備に注力している.
2: おおむね順調に進展している
X線CT装置の導入が10月末日と当初の予定より遅れたが,CT画像処理の手法の開発経験があったことと、提案した計算法(動的輪郭モデル)が堅固に動いたことから、当初の計画通り花の3Dモデルを構築する部分を達成できた.さらに,このCT画像を用いた花のモデリングに関する研究成果は,権威の高い国際学会にConditionally acceptされており(2014/04/29現在)発表の準備が進んでいる.
25年度に達成した花のモデリング手法は,対象が離弁花に限られるため,まずこの手法を拡張して拡張して合弁花への対応を目指す。これと平行して,写真からのテクスチャ合成法と花モデルの可視化環境の開発に注力する予定である.
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Computer Graphics Forum
巻: 32(2) ページ: 123-132
10.1111/cgf.12032
http://www.riken.jp/brict/Ijiri/