研究課題
本研究は,三次元コンテンツが充実した花のデジタル図鑑の実現を目指し,X線CT画像と写真を用いた花の3次元モデリング手法を開発するものである.具体的には,1)花のX線CT画像を領域分割して3次元モデルを構築できる技術,2)複数の写真から花表面の模様(テクスチャ)を合成する技術,及び,3)生成したモデルの直感的な可視化環境の研究開発を行う.提案法はX線CT画像を応用するため,従来法では困難であった遮蔽の多い花のモデリングが可能になる.構築した3次元モデル群は,直観的な可視化環境と統合して公開する予定であり,コンテンツ作成・研究・教育・趣味など幅広い分野での活用が期待できる.26年度前半は,前年度(25年度)に開発を行った『CT画像から花の構成要素(茎・花托・雌しべ・雄しべ・花弁・がく片)を半自動的にモデリングできる手法』のブラッシュアップを行った.この手法は,画像の局所特徴量に応じて定義されるリーマン空間の最短距離問題を解くことで,CT画像から花の各要素(花弁やしべなど)の軸やふちを半自動的に抽出する.26年度前半は,この部分の高速化やリファクタリングを行った.加えて,撮影されたCTデータと提案法により生成された花の三次元モデルをweb上で公開する作業も行った.本研究成果は,Graphics業界最高峰の学会であるSIGGRAPHにフルペーパーとして採録された.26年度後半は、花のモデリングに取り掛かる準備段階として前年度(25年度)に開発を行っていた医用画像の領域分割に関する手法をブラッシュアップし、そのweb公開に関する作業を行った.現在、提案システムは,VoTracerというソフトウエア名で申請者web pageよりダウンロード可能であり、複数の医療機関・研究機関において利用されている.また,この手法の実応用に関する研究発表も行った.
2: おおむね順調に進展している
本年度は,花の三次元モデリング手法のブラッシュアップし,関連ソフトウエアと花の三次元モデル群の公開を完了した.ただし,現在生成できているモデル数は10例程度と少ないため,さらに意欲的な研究活動が必要である.
26年度までに,花のCT画像の領域分割と三次元モデル構築部分は達成されている.本年度は,主に『画像から半自動的にテクスチャを抽出し三次元モデルにマップする部分』と『直感的な可視化環境』の開発に従事する.特に,半自動テクスチャ抽出では,写真と三次元画像との自動位置合わせ手法,三次元モデルのパラメタリゼーション,及び,遮蔽部分のテクスチャ類推の三件の要素技術を開発する必要がある.各要素技術について,グラフィクス業界ではさまざまな既存手法が発表されおり,それらを応用し花の構造に特化した技術を提案する必要がある.可視化環境については,より幅広い層のユーザが利用できるよう,汎用的な利用環境を想定して実装を進める予定である.さらに上記に加えて,本年度は,花サンプルの撮影も行い,モデルの種類を増やしその公開に関する作業にも従事する予定である.
すべて 2014 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件)
International Journal of Networking and Computing
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http://www.riken.jp/brict/Ijiri/flowerctlib/
http://www.riken.jp/brict/Ijiri/VoTracer/