本年度は,花表面のテクスチャ復元に関する研究に注力するともに,Webブラウザにより花三次元モデルを閲覧できる環境の構築,および,花のCT撮影作業に取り組んだ. 1. 花のテクスチャ復元.本研究では,遮蔽の多い花の形状モデリングのため, X線CT装置を用いる.しかし,このX線CTには,テクスチャ情報を取得できないという課題がある.そこで,花のCT撮影を行った後に複数視点から写真も撮影しておき,この写真からテクスチャ情報を復元する手法を開発する.具体的には,CTから構築できる三次元モデルを複数視点からレンダリングし,このレンダリング画像と写真を比較することで,『三次元モデルと写真の相対的な位置関係』を取得する.さらに,写真を三次元モデルに逆投影することで,テクスチャを復元する.花・昆虫を用いた実験を行い,提案手法により詳細なテクスチャが得られることを確認している.残念ながら研究期間中に論文公開へ至らなかったが,現在,手法をまとめ論文投稿準備を進めている. 2. 花モデルの閲覧環境.本研究により得られたCT画像と三次元モデルは,研究代表者のWebページにて公開されている [1].このデータを一部の専門家だけでなく,教育・趣味目的に広く利用できるよう,一般的なweb ブラウザを用いて花三次元モデルを閲覧できるツールを開発した.開発成果は既に,研究代表者ページ[1]に導入されている. 3. 花のCT撮影.現在,研究代表者のページ[1]には,11種の花のCTと三次元モデルが公開されている.このページを更に充実させるため,複数の花のX線CT・写真撮影作業を行った.得られたデータは,上記(1)の研究に利用しており,この研究の論文発表と同時に公開する予定である. [1] Flower CT Volume Library. www.riken.jp/brict/Ijiri/flowerctlib/
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