研究課題/領域番号 |
25700017
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大野 和則 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (70379486)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | センサ融合・統合 / レスキューロボット / 災害救助犬 / 動作計測 / 情報工学 |
研究概要 |
災害救助犬は、災害地で埋もれた被災者を発見するのに有効な探査方法である。一方、日本では、被災者の探査に、災害救助犬がほとんど用いられない。この原因として、人々に災害救助犬の有効性が伝わっていないことが考えられる。申請者は、災害救助犬の有効性をデータで示すことを目指している。 本申請では、被災地に取り残された被災者を探査する災害救助犬に計測装置を取り付け、その探査を計測・解析・可視化する技術の研究開発を行う。3年間で、1.救助犬の行動を計測し犬の歩容などを推定する手法の構築、2.犬の歩容と慣性センサと外界センサを組み合わせた犬の移動軌跡の推定、3.建物内部の3次元形状を計測する手法の構築と、それを利用したアプリケーションの構築を行う。開発した技術の有効性を、日本救助犬協会の協力のもと、訓練された救助犬や訓練中の犬を用いて評価する。 平成25年度は、1.2.の開発と、3の準備を行った。1.犬の歩容の推定手法の構築は、モーションキャプチャと犬に取り付けた慣性センサで犬の様々な歩容(歩行、走行、ジャンプ等)を計測した。このデータを解析し、慣性センサのデータから、歩容が推定出来そうだという知見を得た。また、日本救助犬協会の方と議論を進める中で、犬が被災者を発見したサインが、今後のアプリケーションの構築では重要であることが分かり、被災者を発見した時の行動の計測にも着手した。 3次元形状の計測の手法の構築は、歩容推定に加えて、2.犬の歩容と慣性センサと外界センサを組み合わせた犬の移動軌跡の推定手法の開発が必要になる。この開発の課題は、犬の3次元の速度の推定精度の向上である。収集した行動データから歩容と速度の関係を解析し、犬の姿勢と犬の対地速度を用いることで、3次元の速度の推定精度を向上出来る新たな知見を発見した。また、この知見を利用し速度と軌跡の推定精度が向上することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
進捗はおおむね順調に進んでいる。行動を計測する装置の開発と計測データの解析から歩容の分類が出来るようになった。計測装置の詳細は国内の複数の講演会で発表を行った。また速度推定精度を向上する新たな知見も得られた。この新たな知見はFSR2013という査読付国際会議において発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、当初の計画に基づき研究を進める。加えて、異なる犬種や大きさの災害救助犬の動作を計測し、データの蓄積を行いつつ、平成25年度に開発した方法の妥当性を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
外部から購入する予定であった歩行計測装置は、人間用に開発されていて犬の動作計測に向いていないこと、市販の小型センサを用いた計測装置を開発した方が、安価で、かつ、計測したい動きを計れることが分かったため、この分の物品費を安く抑えることができた。 平成26年度に持ち越した予算を用いて、犬の動作を計測する装置の数を増やす予定である。現状は1日に1犬種しか計測が行えていないため、データの蓄積に時間がかかっている。計測装置の数を増やすことで研究用のデータの蓄積を行う。
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