研究課題/領域番号 |
25700020
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
梶本 裕之 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (80361541)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | バーチャルリアリティ / ユーザインタフェース / 電気刺激 / インピーダンス / 触覚 |
研究実績の概要 |
平成26年度は電気刺激による多点刺激の応用に関して主に行った.第一に圧力分布センサを用いて皮膚の押下力分布に応じた電気刺激を与える手法を手掌部全体に行うことによって感覚の不快感が劇的に軽減されることが前年までに確認された1536点の円筒形電気刺激装置を力覚提示装置と組み合わせた.これによりユーザはバーチャルリアリティ空間中で自由に手を動かし,バーチャルな物体を把持するという基本的な仕組みが構築された.また実験の結果,押下圧力の変化に応じた電気触覚の提示面積の変化によって柔らかさなどの触覚的特徴を表現可能であることが確認された.第二にスマートフォンへの応用を念頭に,画面上の操作する指と異なる指に触覚を提示することで,画面に触覚提示装置を搭載する必要がないシステムを構築した.予備的実験の結果提示された触覚による形状知覚が容易に成立することが示された.第三にスマートフォンに搭載されたカメラからの画像を触覚に変換し,主に視覚障害者が周囲環境を把握するシステムを構築した(こちらの成果については12月から実応用展開にむけて別予算にて継続していく予定である).予備的実験の結果簡便な図形の認識が可能であることが示された. 以上のように本年度は安定した手掌部の触覚提示が可能となった現状を踏まえて,新たな応用開発を開始した.今後はこうした応用をより実際の環境で検証していく必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では平成26年度は筋骨格構造の推定手法の開発を行う予定であった.しかしKINECT等に代表されるモーションセンシングが低コスト化している現在では,皮膚インピーダンスに基づく筋骨格系の推定は難しさに比して利益が少ない.このため現在までに安定的に実現した圧力分布センシングとの組み合わせによる電気刺激の不快感軽減の応用展開を優先した.この結果として世界で初めてスマートフォンの「裏側」に高精細な触覚を提示することに成功した.なおH27年度には現在,電気刺激とインピーダンスセンシングの組み合わせについても検討する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
皮膚電気刺激に関しては,前年度までの成果を踏まえ,安定した手掌部への触覚提示の一般用途への応用を主に行う.携帯電話の裏側に敷設した電極による表面の画像情報の触覚提示や,円筒形電極をもちいた手掌部全体への触覚提示をおこなう. 筋骨格系の電気刺激による力覚提示に関しては,これまでに肘部の腱器官を刺激することで実際には動いていないにもかかわらず変位が知覚されるという現象を発見しており,力覚提示の本命となる可能性があるため,本現象を用いた直接的な運動感覚提示を,運動に対応しながら行うシステムを実現するとともに,現段階で上腕の肘のみで感じられるこの現象を脚部等へ拡張する.
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