30年度は音響的なコミュニケーションにおける操作インタフェースの評価,バーチャル空間を重畳したり切り替えた環境の評価,定位付き音声による人間のメモ理解の可能性の検証,情報環境を用いた議論コミュニケーション支援手法の評価,といったインタフェースと環境構成などの評価をメインとした研究を進めた.外部発表は国際発表5件と国内発表5件を代表的な結果としつつ,検証を行った未発表の結果も複数ある. まず,定位のある音像移動する足音TAシステムを評価した結果が国際会議にて採択された.また,一対多人数コミュニケーションにおける話者が全体と個別に対する発話の切り替えを行う手法について,国際会議で発表し,さらに詳細を検証し国内発表した.この研究に関連し,話者が聴衆の一部に音声による話しかけを行う前に,話者から分離してターゲットへ歩み寄るような分身的AR影提示手法について検証を進め,国内発表を行った.これらの音響環境を統合的サウンドスケープとして構築する手法についても国内発表を行った. また,音声の指向性に関連して,指向性付き音声メモの人間の記憶への影響や、メンタルイメージ内での配置しやすさについて,ユーザの頭部方向によるブラウジングの影響,および音響的な左右定位の影響に関する検証を行い,国際発表を行った.これ以外にも,言語的方向指示付き音声メモと音源定位音声メモを比較するなど,人間の音響イメージと情報の把握に関する検証を行い,定位のある音声の限界と有用性についてデータを得た段階である. さらに,議論刺激を行う対話中並行提示システムによる議論刺激効果についての国際発表を果たした.ほかにも,会話を行う環境の視覚的AR重畳空間設定手法に関する検証結果のデータを得た. このように,コミュニケーション環境における主体や環境を示すサウンドスケープと周辺の視覚的AR情報環境の構築に関する多くの知見を得ることができた.
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