研究課題
26年度は,情報量に基づく様々な機械学習アルゴリズムを開発した.具体的には,以前に開発した情報量に基づくクラスタリングを拡張し,いくつかのデータ対に対して,それらが同じクラスタに属するべきか異なるクラスタに属するべきか,という知識を付与し,そのような追加知識を用いることによってクラスタリングの性能を向上させた.また,相関のある確率変数対が与えられたとき,それらの因果性の方向を推定するアルゴリズムを開発した.このアルゴリズムでは,ノイズが加法的であると仮定し,入力から出力を予測したときの残差を入力と独立にできるかどうかを判定することにより,因果方向を同定する.この独立性の判定部分に,情報量推定アルゴリズムを用いた.更に,情報量を用いて高次元データの次元数を圧縮する教師なし次元削減法を開発した.このアルゴリズムでは,入力と,入力を圧縮した量ができるだけ従属になるように圧縮を行う.これは,情報量の最大化により実現でき,教師なしであるにもかかわらず客観性のある次元削減が行える.上記の機械学習アルゴリズムの開発と平行して,基礎研究として,確率密度関数間の差を直接推定する密度差推定手法を改良した.また,正例とラベルなしデータだけからクラス事前確率を推定できるアルゴリズムを考案した.これらの基礎研究の成果は,来年度以降の機械学習アルゴリズム開発に利用される予定である.
1: 当初の計画以上に進展している
本年度は,実用性の高い3つの機械学習アルゴリズムを開発したとともに,次年度以降の研究につながる基礎研究においても,密度差推定とクラス事前確率推定の検討において顕著な成果を得た.
27年度は,これまでの研究を更に発展させ,情報量を用いた様々な機械学習アルゴリズムの開発に取り組む.具体的には,情報量を類似性尺度として用いた異質データ間の適合アルゴリズム,情報量推定アルゴリズムを用いたマルコフ確率場モデルの構造推定法,高速に計算可能なクラス事前確率推定アルゴリズムなどを開発する.
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