研究課題/領域番号 |
25700025
|
研究種目 |
若手研究(A)
|
研究機関 | 一般財団法人ファジィシステム研究所 |
研究代表者 |
江口 正徳 一般財団法人ファジィシステム研究所, 研究部, 主任研究員 (60613594)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 誘電泳動 / マイクロ・ナノデバイス / ソフトコンピューティング |
研究概要 |
本研究は,Bottle neck Fork-trace電極(BF電極)によって生じる誘電泳動力の電極形状依存性と,白血病細胞の誘電泳動特性の温度依存性を解明することを目的としている.平成25年度では,下記の研究課題に関して検討した.1.これまで経験的に設計していたBF電極の曲線部の設計指針を確立し,細胞分離に適した電極の設計を行った.設計した電極を評価する為に,微細加工技術により,電極作製を行い,純水中に分散させたチタン酸バリウムマイクロ粒子(約直径15ミクロン)に生じる正の誘電泳動力を,斜面重力を用いて測定した.また,本年度導入した3次元電磁界解析ソフト(Maxwell 3D, ANSYS)を用いて,設計した電極の電磁界解析を行い,解析結果と上記の測定結果がほぼ一致していることを明らかにした.この結果については,平成26年8月に開催予定の国際会議で報告予定である.2.誘電泳動用電極の給電方法として,容量結合型の非接触給電方式を採用した,非接触給電方式は,誘電泳動用電極と電極印加用電源との配線を行う必要がないので,血液検査において手間がかからず,迅速化が期待できる.純水中のポリスチレン粒子およびイースト菌を使用して評価実験を行った結果,直接給電方式に比べ,粒子に生じる誘電泳動力が小さくなるものの,給電部の電極形状および基板の厚みを最適化することで,十分に実用化可能である事が分かった.3.血液中の白血病細胞を同定するために,まずは血液細胞の誘電泳動特性の調査を行った.この調査に関しては,次年度も継続して行う予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度では,BF電極の設計指針を確立し,設計した電極の電磁界解析結果と測定値との評価を行い,その特性がおおむね一致しているという良好な結果を得ることが出来た.また,誘電泳動用電極の給電方式に関して検討し,十分に実用可能であることが確認できたことから,おおむね順調に進展しているといえる.
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては,当初の研究実施計画通りに遂行することを予定している.具体的には.正常な血液細胞および白血病細胞の誘電泳動特性およびその温度特性の測定を行い,白血病細胞の検出可能な印加周波数を調査する.また,誘電泳動用電極の非接触給電に関しては,給電部の電極形状や基板材料等を検討し,高効率化を計る予定である.
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じた主な理由としては,研究を滞りなく遂行するための実験補助員の選定に時間を要したため,雇用開始時期が遅れた事と,次年度の成果発表のため旅費および研究実施場所の借り上げ費が不足していたため,本年度の予算を次年度に配分する必要があった事が挙げられる. 次年度の使用計画としては,主に,誘電泳動用電極材料の成膜のための蒸着装置の購入費(物品費),成果発表のための旅費,実験補助員の人件費,研究実施場所の借り上げ費(その他)に支出する予定である.
|