研究課題/領域番号 |
25700033
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
馬 強 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (30415856)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | エンティティマイニング / 関係マイニング / エキスパート発見 / 情報補完 / 理解支援 / バイアスフリー / ソーシャルトレード |
研究実績の概要 |
本研究は情報の偏りを補正して詳しくかつバランスよく多様な情報を提供できる情報補完システムの実現のための基盤技術の開発を目的としています.今年度では,以下の項目について研究開発を実施しました. (1)バイアスフリーニュースアプリの開発:今までの成果を踏まえて,情報の偏りを補正できるニュースアプリケーションを開発しました.開発したアプリケーションNews SaladはGoogle Playにて公開しました.また,開発したアプリケーションを大学院生20人を対象に,2週間渡って実証実験を行い,そのメディアリテラシー向上の効果を確認しました.今後,実証実験の結果をさらなる分析を行う予定であります. (2)関係マイニング:上場企業を対象に,エンティティ間の関係を分析手法について検討しました.株価などの数字データを用いて,ニュースや公式サイトなどにて明記的に記述していない暗黙な関係を発見するための手法を検討しました.評価実験では,株価やニュースを併用してエンティティの関係を分析することの有効性について確認できました.今後,暗黙な関係の発見について研究開発を行う予定であります.さらに,エンティティに関する記述を用いて事象間の包含関係や抽象・具体の関係の分析手法についても開発し,事象の関係を考慮した多様な情報を提供する仕組みについて研究開発を行っています. (3)エキスパートトレーダーの発見:ソーシャルトレードサービスにおけるトレーダーの挙動を分析し,トレーダーをperformance, riskとconsistencyの三つの側面から分析する手法を開発しました.また,プロトタイプシステムを実装し,評価実験を通じてその有効性と有用性を確認しました.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
エンティティマイニングの基盤技術を開発して,バイアスフリーのニュースアプリケーションを開発して一般公開しました.また,20名の大学院生を2週間にわたって実施した実証実験では,開発したシステムが情報の偏り補正やメディアリテラシー向上に効果があることを確認できました. エンティティの関係マイニングに関する研究では,テキストと数字データを併用した手法を提案しました.提案手法は,エンティティんの暗黙な関係の発見につながる可能性が高いことが実験でわかりました.また,エンティティマイニングの基盤技術を利用して,事象の関係分析手法の開発を着手しており,研究のさらなる展開が期待できます. ソーシャルトレードサービスにおけるエキスパートトレーダーの発見手法を開発し,プロトタイプシステムを作成してその有効性を確認しており,「貯蓄から投資へ」の実現に有用な情報技術を開発していると思われます. 今年度は,英文論文誌1本(その他4本投稿中),国際会議(査読あり)4本,国際会議招待論文1本,国内会議5本,国内展示会1本といった成果を上げました.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,ニュースアプリーを利用した実証実験の結果を精査し,開発したシステムの問題点とメディアリテラシー教育への効果を明らかにして,情報の偏りを補正し詳しくかつバランスよく情報を提供できる情報システムの実現のための研究を進化させます. エンティティマイニングの技術を拡張して,エンティティや事象の関係マイニングの研究開発を推進し,プロトタイプシステムを実装して,開発手法の有用性と有効性を確認して改善していく予定です. さらに、ソーシャルトレーディングサービスにおけるエキスパートの発見手法について更に検討していく予定です。
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