研究課題
有害環境化学物質・新世代ビスフェノール・AFは、エストロゲン受容体α型(ERα)に非常に強く結合し、活性化するアゴニストとして働く。一方で、β型には活性を阻害するアンタゴニストである。申請者のこうした意外な新発見に加え、さらに最近、ERαの活性は、ビスフェノールAにより、名前は似るが全く別の受容体であるエストロゲン関連受容体γ型が存在すると約20倍も増強される新奇な現象を見出した。これまでの緻密な転写活性試験と立体構造解析に基づき、「DNA上のタンデムなER応答配列に複数の核内受容体が結合し、互いの転写因子複合体に影響することによる、いわば『転写協同制御』がビスフェノール低用量効果の本質である」と考えられた。そこで本研究では、これら分子メカニズムの解明を目的とした。そのために、3年計画の最終年度となる本年度は、次の実験を実施し成果を得た。まず、ERα型とβ型に対する新世代ビスフェノールの活性化機構の違いを解明するために、キメラ受容体の作製を行った。さらに、前年度までの実験結果に基づき、エストロゲン関連受容体γ型が存在することによるERα活性増強機構には、ERαが結合する応答配列の配向、すなわちDNA構造が重要であると考えられた。そこで、応答配列をつなぐリンカー塩基を一塩基ずつ伸長して転写活性を測定することにより、活性増強機構に対する影響を精査した。リンカー塩基数が7 bpから22 bpまでのそれぞれのレポータープラスミドを作製し、エストロゲン関連受容体γ型が共存することによるERα活性増強機構を比較したところ、至適なリンカー塩基数が存在することが明らかになった。このように、計画した研究を順調に進展させ、新しい知見を複数得た。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biopolymers Peptide Science
巻: - ページ: -
DOI: 10.1002/bip.22795
DOI:10.1002/bip.22792
Peptide Science 2015
巻: - ページ: 317-318
巻: - ページ: 337-338
巻: - ページ: 53-54
巻: - ページ: 335-336
Peptide Science 2014
巻: - ページ: 347-348
巻: - ページ: 41-42
巻: - ページ: 345-346
http://lsfb.scc.kyushu-u.ac.jp