研究課題/領域番号 |
25701013
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
笘居 高明 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (80583351)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 超臨界流体 / グラフェン / プラズマ |
研究実績の概要 |
本研究では、最終廃棄物であるCO2の還元による再資源化を目的とし、超臨界流体を含む高温、高密度環境下で発生させたプラズマ反応場を利用して、CO2を原料とした機能性ナノグラフェンの合成システムを構築する。 本年度の研究においては、液中において電気分解反応より発生した気泡内でプラズマを形成するプラズマ電解法に着目し、超臨界二酸化炭素-水二相共存系におけるプラズマを利用し、CO2直接変換によるナノカーボン合成の最適条件の探索を行った。まず、プラズマの発生に関して、高圧力である程、また、低温である程、放電開始電圧は低下した。これはプラズマの形成が、電気分解による電極近傍でのガス発生過程を必要とするため、よりCO2の水中への溶解量が多く水のイオン伝道どの高い条件がプラズマ形成に有利であることを示唆している。また、同圧力(10MPa)で電極上に堆積したカーボン材料を比較した場合、100℃以下の条件ではアモルファスカーボンしか見られなかったのに対し、200℃の条件では、グラファイト構造に由来するカーボン物質の堆積が確認された。 また、本研究では、光学機能性を有するアームチェアエッジグラフェンの抽出を目的としているが、他方、選り分けられたジグザグエッジグラフェンに関しても、エッジ部位に局在化するラジカルによって、電気化学的機能が発現することが予測される。そこで、超臨界流体剥離法と触媒超微粒子によるナノカッティング法を組み合わせて、ジグザグエッジを多量に導入したグラフェンを作製し、その電気化学的特性を評価した。その結果、硫酸水溶液中でのサイクリックボルタンメトリー測定において、ジグザグエッジのプロトン脱挿入反応に由来する新規ピークの発見に至った。本反応は、電気化学キャパシタのエネルギー密度向上に貢献することが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
交付申請時の計画通り、超臨界流体プラズマ反応場におけるCO2直接還元によるナノカーボン合成を行った。加えて、今後のナノグラフェンの電気化学的応用に繋がる、グラフェンジグザグエッジに由来する特異的レドックス反応を見出した。 以上より、当初の計画以上に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
超臨界CO2からのナノグラファイト合成の高効率化を推し進める。 加えて、光学機能性に追加して、電気化学的機能性もナノグラフェンの応用展開の検討事項に追加し、本研究で最終的に得られるナノグラフェンの実用可能性を見出していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。
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次年度使用額の使用計画 |
当初計画に加え、応用展開まで見据えた、光学的、電気化学的機能評価を推進するための、実験条件追加に当てる
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