研究課題/領域番号 |
25701016
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
林 灯 九州大学, 水素エネルギー国際研究センター, 准教授 (60443214)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ナノ機能材料 / 燃料電池 / 低炭素社会 |
研究実績の概要 |
1.電極触媒の創製について、H25年度にカーボンナノチャンネル直径(8 nmから20 nm)とカーボン粒子径(60 nm)の制御は達成できている。カーボンの粒子径は60 nmに微粒子化したことで、物質移動の向上により電極触媒としての活性を向上できている。H26年度は、ボールミル粉砕で微粒子化したカーボンの表面再疎水化を行うことで、電極触媒性能を向上し、充分なカーボン表面の疎水性の必要性を示した。また、窒素ドープカーボンについても合成を始めたが、窒素ドープ量が多いとナノチャンネル構造が崩れやすくなるなどの課題も抽出できた。 2.物性評価・解析(固体電気化学)について、H25年度には、カレントインターラプト法からオーミック抵抗について検討し、ナノカーボンが特に市販のカーボンより抵抗が高いなどの問題がないことを見出している。H26年度は、インピーダンス測定の結果をもとに、各種抵抗成分の分離を行った。その結果、活性化過電圧においては、市販のカーボンを用いた場合よりも若干低いことが証明できた。しかしながら、濃度過電圧が大きいという課題も出てきた。 3.燃料電池開発実証について、H25年度は、Pt/ナノカーボンからなる燃料電池を作製し、標準サンプルと同等以上の活性を有することを示している。H26年度は、耐久性についても検討し、カーボンナノ空間内のPtは安定で、耐久性が向上できることが明らかとなった。また、カーボン表面のグラファイト化度を向上することで、カーボン酸化に対する耐久性も向上できることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H26年度までに当初計画していた、カーボンナノチャンネル直径と活性及び耐久性の相関性評価、窒素ドープカーボンの活性評価、カーボン担体の電子・イオン伝導率測定について、まだ完了できていないが、それ以外は予定通り進めることができている。また、当初の計画にはなかった、in-situ SEM/STEM観察という新しい手法を導入し、劣化メカニズムの解明に取り組み、更に次世代の燃料電池を視野に入れ、作動温度の高温化に取り組むことができている。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度までに当初計画していた、カーボンナノチャンネル直径と活性及び耐久性の相関性評価、窒素ドープカーボンの活性評価、カーボン担体の電子・イオン伝導率測定について取り組むとともに、H27年度の目標である関連デバイス(水電解セル、水素純度センサー)への展開を検討する。また、これまで抽出した課題についても、研究期間内にできる限りの研究アプローチを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた消耗品の多くが、別プロジェクトとの共同購入ができ、予定額を下回ったため、交付申請書に記載したH26年度物品費の額を下回る結果となった。予定して旅費も学内支援等を受けたことで使用する必要がなくなり、また謝金についても必要なくなったため、次年度に繰り越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
H27年度は、最終年度として研究成果をまとめていく目的で、研究を加速するための燃料電池評価システムの追加のためや、成果発表のための旅費、電子情報発信などを行うための費用に使用する。
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