研究課題/領域番号 |
25702005
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
大池 秀明 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品機能研究領域, 主任研究員 (30455307)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Sirt3 / アセチル化 / 概日リズム / NAD+ |
研究概要 |
ミトコンドリア内において、SIRT3による代謝関連タンパク質の脱アセチル化は、代謝調節にとって重要な役割を果たしている。また、その活性は、概日リズムによって制御されている可能性が高いと考えられた。この概日性の代謝制御を可視化するため、生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)を利用し、SIRT3標的タンパク質のアセチル化を培養細胞内でライブイメージングする方法を検討した。すでに報告のあった、ヒストンのアセチル化を蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)で検出するプローブを改変し、まず、ヒストンのアセチル化を検出するBRETプローブを作製した。ヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤であるトリコスタチンAの添加により、発光スペクトルが変化することを確認した。続いて、SIRT3の標的タンパク質であるIDH2、MDH2を利用し、これらのアセチル化を検出するBRETプローブの開発を試みている。また、SIRT3の活性はNAD+依存性であり、細胞内NAD+濃度にも概日リズムがあることが報告されていることから、同時に、細胞内NAD+濃度を可視化するプローブの作製も試みている。さらに、SIRT3にルシフェラーゼを結合させたタンパク質を安定的に発現する培養細胞株を作製し、発光量を目安にSIRT3タンパク質の発現量を増加させる条件を検討した。その結果、いくつかのカロリー制限模倣条件で発光値が増加することを確認した。現在、SIRT3の発現を増加させる因子の同定を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Sirt3ノックアウトマウスの繁殖に、当初予定していたよりも時間がかかり、マウスを使用した実験がやや遅れているが、その代わりに、培養細胞を使用した実験を先に進めており、トータルでは、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
培養細胞を利用した実験が順調に進んでいることから、これを手がかりにSIRT3タンパク質の発現制御機構の解明につなげていくことを予定している。遅れていたマウスの繁殖も進んできたことから、今後は動物実験と培養細胞の実験を平行させることで、相乗的に結果を得ていきたいと計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
予算の執行はほぼ予定通りに行われたが、競争見積り等の実施により、予定金額よりも若干安く納品された物品があったため、約1%の残額が出た。 残額分は次年度に使用する消耗品の購入費用に上乗せして使用する。
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