研究課題/領域番号 |
25702006
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
南里 明子 独立行政法人国立国際医療研究センター, 臨床研究センター疫学予防研究部, 室長 (80523646)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 栄養疫学 / うつ / 食事 / 職域 / BDNF |
研究概要 |
これまでに、葉酸やビタミンD、食事パターンと抑うつ症状との関連を報告したが、抑うつは自記式調査票を用いて評価しているため課題が残る。そこで、うつ病との関連において注目されている脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor: BDNF)の血中濃度を測定し、食事・栄養要因とBDNFとの関連について検討を行う。 関東地区の某企業2事業所において、平成24年および25年に定期健康診断にあわせて栄養疫学調査を実施し、生活習慣および食事に関する調査、採血を行い、約2200名が調査に参加した。平成25年度に参加者の約半数の血液検体よりBDNFおよびproBDNF濃度を測定、平成26年度に残りの検体のBDNFおよびproBDNF濃度を測定する予定である。BDNFは現在測定中であるため、食事調査票より得られた食品・栄養素摂取量より、三大栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質)とCenter of Epidemiologic Studies Depression Scaleを用いて評価した抑うつ症状との関連を検討した。 その結果、たんぱく質摂取が多いほど抑うつ症状は少なく、動物性および植物性たんぱく質はどちらも摂取が多いほど抑うつ症状が低下する傾向であった。炭水化物および脂質摂取は抑うつ症状との関連は認めなかった。本結果は、断面的な関連であることや、抑うつ症状の評価は主観的方法によることから、追跡調査を行い縦断的関連を明らかにすること、さらに、血中のバイオマーカーを測定することで抑うつ症状を主観的に評価し、検討することが必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度には当初の予定通り、関東地区の某事業所において定期健康診断にあわせて栄養疫学調査(生活習慣および食事調査、採血)を実施し、高い参加率を得た。調査では、健診前に調査票を配布し事前に記入後、健診会場に持参いただき、その場で調査員が記入内容を確認した。記入内容に不備があれば本人にその場で確認を行い、欠損の少ない質の高いデータを得ることができた。また、平成24年度に他事業所で実施した栄養疫学調査データと統合し、解析用データセットを作成した。さらに、平成24年度に実施した調査より得られた血液検体を用いてBDNFおよびproBDNF濃度の測定を完了した。現在は、BDNF以外のデータを用いて、食品・栄養素摂取量と抑うつ症状との関連について解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年および25年に栄養疫学調査に参加した全対象者のBDNFおよびproBDNF濃度の測定が、平成26年度内には完了予定のため、測定が完了次第、解析用データセットを作成し、血中BDNFおよびproBDNF濃度と食事・栄養要因(葉酸など)および食事パターンとの関連について解析を行う。 また、平成24年に栄養疫学調査を行った事業所では、平成27年度に追跡調査を予定している。平成24年の調査の際に、事業所産業医および調査参加者には、3年後に追跡調査を行う旨を説明し同意は既に得ているため、円滑に進めることができると予想される。今年度より調査準備を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
BDNFおよびproBDNFの測定費を当初予定した金額よりも抑えることができたため、次年度使用額が若干増えた。 次年度に調査参加者の残り約半数の血液検体よりBDNFおよびproBDNF濃度を測定するため、その測定費に使用する。
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