研究課題/領域番号 |
25702007
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
中村 勝一 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (60364395)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 文脈情報 / 情報組織化 / 推敲能力育成 / 研究活動支援 / 教育工学 |
研究概要 |
研究活動の過程では,他者との議論や質問・回答など「思考的コミュニケーション作業」と,論文執筆,発表資料作成,調査結果整理など「関連ファイル群の主観的管理を伴うドキュメンティング作業」を交互に繰り返し,試行錯誤を経て成果を積み上げる「研究推敲能力」が重要だが,初学者にとってその能力修得は難しい.一方,教授者による指導方法の一つに注視対象示唆(重点的に発展させるべき成果物等の示唆)があるが,十分な効果が得られない実情がある.本研究では,その阻害要因として試行錯誤文脈の蓄積・活用困難性に着目し,試行錯誤文脈の積極的抽出蓄積戦略,文脈情報を作業の違いを越えて成果物と共に組織化する手法を開発する.その上で,組織化された文脈情報上における注視対象の示唆・絞込みを可能とする支援システムを開発することで,試行錯誤文脈を活かした推敲能力育成支援の実現を目指す. 平成25年度は,試行錯誤文脈の抽出戦略・組織化手法の開発に取り組んだ.まず始めに,研究初学者を対象とした能力育成支援等に関する研究動向の調査を行った.続いて,試行錯誤文脈の抽出戦略の設計を行った.具体的には,潜在的文脈情報について,媒体毎の構造的特徴を利用した発話抽出,引用・応用関係の解析による文脈構造抽出手法を開発した.また,主観的形成文脈について,ファイル間の使い合せ様態の分析を行った.それに基づいて,連続する一度の作業終了時にその作業で使用したファイル群とその関係を推定し,ファイル使い合せ様態を「ノードとエッジ」として抽出する手法のプロトタイプを開発した.それぞれ検証実験を行い,各手法の特徴を検証し,課題を含めた知見を抽出した.これらの開発・検証作業と連動して,潜在的文脈情報と主観的形成文脈情報の融合のためのタスク情報について観察を行い,融合手法開発の参考となるいくつかの知見を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りのスケジュールで進んでいると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,まず,平成25年度に開発した手法とタスク情報等に関する分析結果を基に,潜在的文脈情報と主観的形成文脈情報の融合手法を開発する.次に,試行錯誤文脈の注視対象の示唆・絞込みメカニズムの開発に着手する.そのために,まず,試行錯誤文脈上における注視対象示唆・絞込み行動に関する観察・分析を行う.その結果に基づいて,注視対象示唆・絞込み支援機構を開発する.出来る限り反復的な検証・検討を行い,チューニングのヒント,機構の有効性に影響を与える要因等の抽出に努める.その後,ここまでの観察・分析において抽出された実際の研究活動における作業の様子をベースとして,推敲能力育成支援システムに具備するサービスを検討・設計する.
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次年度の研究費の使用計画 |
26年度は消耗品が予算的に若干苦しいことを念頭に,25年度の支出削減に努めた結果である. 25年度からの繰り越し金額は僅かであるため当初計画から殆ど変更ないが,引き続き効率的執行に努めめつつ研究遂行する.
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