研究概要 |
本研究では社会的存在感のモデルの再定義を通じて、「探求の共同体」フレームワークを再構成し、再構成されたフレームワークに基づいてプロジェクト学習支援システムの開発、ならびに評価を行うことを目的としている。平成26年度は社会的存在感、認知的存在感、教授的存在感と現存する協調学習支援システムの機能の有効性との関係を分析した。使用したシステムはSPChat(Yamada, 2012)、Facebookをそれぞれ別の授業実践で使用した。受容的特徴のある3つの存在感については、「探求の共同体」尺度(Arbaugh, et al, 2008)を用い、質問紙で収集を行った。表出的特徴の存在感については、「探求の共同体」インジケーター(Shea et al, 2010)を使用し、発言データの分類を、研究協力者を含めた2名で分類を行った。分類については1人で分類を行った後に、2名の分類結果を突き合わせ、一致率を算出した。分類がずれた部分について、議論を行い、分類結果を合わせるアプローチを取った。その結果、認知的な学習支援でもその成果が共有されるもの、他のメンバーに認められていることが可視化される機能が受容的・表出的な社会的存在感、ならびに認知的存在感に有意な関係性があることが示された。また感情的表現を支援する機能が認知的存在感に関する発言(質問や議論の展開に関する発言)と正の相関があることが示された。社会的存在感の再構成については、Twitterを使って実験的に、3人で議論を行ってもらうタスクを行った。データは収集済みであり、今後、分析を行っていく予定である。
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