本研究は、化学分析を通して、日本列島の遺跡から出土する「西のガラス」の生産地を推定することで、古代の交易ルートの解明と時期変遷を明らかにすることを目的としたものである。 研究の結果、地中海世界に特有のソーダガラス、すなわち「ナトロンガラス」が日本列島でも一定量出土することが確認された。さらに、日本列島におけるナトロンガラスの出土は、弥生時代後期後半~終末期と古墳時代中期前半に集中し、それぞれ材質や製作技法が異なることも明らかとなった。本研究によって、ユーラシア大陸の東端に位置する日本列島が、弥生時代の段階から、交易によって地中海世界と結び付いていたことが示された。
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