研究課題
本研究では、高解像度地形・地物データの取得方法および解析手法の確立を目的とし、各種地形・地物を対象とした計測と解析を進め、そのアーカイヴ化と共有、解析プロトコルの構築を行うことを目的とする。本年度は、急傾斜地における土石流堆積物、塩類風化の生じている岩石建材や洞窟壁面、泥火山活動の進行している丘陵地、海岸侵食の進行している岩石海岸、津波侵食を受けた岩石段丘、林地を含む河床堆積物、カルスト洞の内外、表層崩壊の頻発する山地斜面といった各地で実施した。また、取得した高解像度地形データの解析ツールとして、流向に基づく複スケールでの勾配・比勾配計算アルゴリズムを適用したツールボックスの開発・最適化を進めた。これにより、地表面上における特徴点の定量的な抽出が可能となる。あわせて、取得した高解像度地形・地物データの共有システムの開発を進めた。ここでは、共同研究支援システムを利用して、関連する研究者間で取得データの共有・利用を可能とするとともに、3次元座標をもつ点群データの特徴を生かすため、データの3D表示が可能となるシステムの開発を行い、共同研究支援システムに実装した。これらのデータ・ツールへの入口として、独自のウェブサイトの管理運営も行った。2014年8月には「高解像度地形情報シンポジウム:地形情報のすべて」と称したシンポジウムを開催した。地上レーザ測量をはじめ、SfM多視点ステレオ写真測量、小型無人航空機など、様々な関連分野の研究者・技術者が集まり、データの取得から活用まで総合的な議論が交わされ、今後の進展についても指針が得られ、その成果はCSIS Discussion Paperとして刊行した。1月には第2回となる高解像度地形情報シンポジウムを実施した。他、JpGUやAOGSの国際会議において、関連するテーマの国際セッションをコンビーナとして主催した。
2: おおむね順調に進展している
レーザスキャナを用いた各地における多様な対象の現地計測の実施,データ解析,ウェブサイトおよびデータ共有システムの構築・運営など,概ね計画通りに進行している。とくに,小規模なセミナーや国際会議におけるセッション主催に加え,100人規模のシンポジウムを当該年度に2回実施できたことは大きな意義をもつと考えられ,研究の進展を推進するものとなった。
継続的に現地計測を実施し,また蓄積されつつあるデータの処理とアーカイヴ化をさらに推進する。その過程で解析手法のノウハウも蓄積し,プロトコル確立に向けてその整理も実施する。加えて,国際会議におけるセッションや単独のシンポジウムの開催を実施し,関連する研究者間との情報共有,また今後の方向性に関する議論を行う。
当初の計画の通り、データ共有システムの構築・維持管理にかかる費用、および継続的に発生する機材の部品調達等のため、次年度使用額が生じている。
地上レーザ測量機材の定期検査や関連する部品交換、データ共有システムの維持管理、増強に使用する予定である。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 3件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 7件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (7件) 備考 (2件)
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