研究課題/領域番号 |
25702014
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
早川 裕弌 東京大学, 空間情報科学研究センター, 准教授 (70549443)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | レーザ測量 / 写真測量 / 点群データ / DEM / 地理情報システム / 高精細地形情報 |
研究実績の概要 |
本年度は、急傾斜地および山地流域における土石流堆積物、塩類風化の生じている岩石建材や洞窟壁面、泥火山活動の進行している丘陵地、海岸侵食の進行している岩石海岸、森林とその基盤となる起伏領域、表層崩壊の頻発する山地斜面、火山活動にともなう地殻変動領域、火山周辺の崩壊斜面、津波石を含む岩石海岸段丘、といった対象で計測を実施した。 また、取得した高精細地形データの解析ツールとして、流向に基づく複スケールでの勾配・比勾配計算アルゴリズムを適用したツールボックスの開発・最適化を進め、これをウェブサイトに公開した。また、学術論文として国際誌に投稿し、受理された。 あわせて、取得した高精細地形・地物データの共有システムの開発を進めた。ここでは、共同研究支援システムを利用して、関連する研究者間で取得データの共有・利用を可能とし、そのコンテンツを増強した。またこれらのデータ・ツール群への入口として、また各種情報発信の起点として、独自のウェブサイトの管理運営を行った。 2016年4月には、EGU(欧州地球科学連合)においてセッションの共同コンビーナとして実施した。5月には、JpGUにおいて国際セッションをコンビーナとして主催し、高精細地形地物情報に関する研究の議論の場を設けた。 6月には台北で行われたIGU(国際地理学連合)分科会のシンポジウムにおいて招待講演を行った。10月には東京大学柏キャンパス一般公開において機器展示と体験会を行い、本手法の一般普及につとめた。2017年2月には「第4回高解像度地形情報シンポジウム」を開催し、3次元点群データの解析手法の実習も行い、様々な関連分野の研究者・技術者の間で、データの取得から活用までの総合的な議論が交わされ、今後の進展についても指針が得られた。この他にも、関連するテーマにおける小規模な研究会やワークショップを複数回にわたって実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レーザスキャナ等を用いた各種対象地における多様な対象の現地計測の実施,データ解析,ウェブサイトおよびデータ共有システムの構築・運営など,基幹的な部分に関しては計画通りに進行した。加えて,複数の小規模なセミナーや国際会議におけるセッション主催,シンポジウム開催を当該年度に実施できたことは大きな意義をもち,研究の進展を推進するものとなった。さらに,国際誌における関連論文を募集する特集号を企画することができた。Progress in Earth and Planetary Science (PEPS / Springer) や、Natural Hazard and Earth System Science (NHESS / Copernics) の2つの国際学術誌において、高精細地形情報に関する特集号を編集者として企画・実施し、多方面からの学術論文を募集し編成中である。
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今後の研究の推進方策 |
各種対象地における現地計測の継続とともに、蓄積されるデータの処理とアーカイヴ化をさらに推進するとともに、その過程で得られた解析手法の最適な手順やノウハウの整理とプロトコル確立を行う。加えて、国際会議におけるセッション企画や単独のシンポジウム開催を継続し、関連する研究者間との情報共有と、ニーズの吸い上げ、今後の展開に関する議論を行う。さらに、国際査読誌(PEPS/NHESS)における特集号を出版し、関連する研究を総合・統括的に推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ共有システムの構築・維持管理の継続性を確立するためと、次年度における国際会議(EGU, JpGU)におけるセッション運営・研究発表にかかる費用等が必要なため、次年度使用額が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
上記に加え、地上レーザ測量機材の定期検査や関連する部品交換、データ共有システムの維持管理と増強、および研究会・シンポジウム開催、成果物(論文・本)の出版等に使用する予定である。
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