研究実績の概要 |
本研究では、飛騨山脈の氷河分布の全貌と氷河の特性を明らかにすることを目的としている。平成28年度は氷河の特性を解明するための観測を重点的に行った。概要を以下に示す。 2016年秋は20年ぶりと言われるほど融雪が大きく進んだため飛騨山脈北部のほとんどの多年性雪渓では氷体全部が姿を現した.調査対象の多年性雪渓の現在の氷体面積を明らかにするため2016年9月27日と10月7日にヘリコプターまたはマルチコプター(DJI社製Phantom4)で各雪渓の空中写真を50枚ほど連続撮影した.撮影画像をSfMソフト(Agisoft社製PhotoScan1.3)を用いてオルソ画像に変換し,GISソフト(ESRI社製ArcGIS10.3)にオルソ画像を取り込んで氷体分布図を作成した. 内蔵助雪渓では、2016年9月に2011年に設置した2本の流動観測用ステークが5年ぶりに現れた。ステークの位置をGPS測量し,2011年9月7日~2016年9月24日の1,844日間(約5年間)の流動量を求めた。流動量は11,14 cmであった。年間に換算した流動速度は2,3 cmと極めて小さいものの内蔵助雪渓は多年性雪渓に移行しつつある氷河であることが分かった。 御前沢雪渓(氷河)では、2012年に設置した質量収支観測用のステークが4年ぶりに現れた。2012/2016年の平均質量収支は全域マイナスであった。 研究成果は日本地球惑星連合大会、雪氷研究大会(2016・名古屋)、日本地理学会2017年春季学術大会で発表した。また、前年度までの研究成果と合わせて地理学評論に論説として投稿した。
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