本研究では、複合災害を前提とした大都市避難シミュレーションを構築することで、大都市における広域避難時の課題を抽出するとともに、避難計画や帰宅困難者対策の評価手法を確立することができた。例えば帰宅困難者対策については、帰宅意思モデルを用いて対策の量的評価を行うとともに、災害時における混雑危険度指標を提案することができた。この結果、首都圏において仮に大規模災害時に帰宅困難者の一斉帰宅が行われると、6人/㎡を超える密集空間の道路延長距離は東日本大震災の約137倍となることや、このような帰宅困難者の大量発生が市街地火災からの避難時間に大きな影響を与えることなどが明らかになった。
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