過負荷が腱組織に繰り返し作用すると,組織温度は43度まで上昇する.この高温状態が腱細胞機能に変化を及ぼし炎症反応に繋がると考え,その過程におけるギャップ結合シグナル伝達(GJIC)の役割を明らかにすることを目的とした.43度30分間の温熱刺激によって腱細胞の炎症応答関連遺伝子の発現が上昇したがGJICには影響は見られなかった.GJICを阻害するとこれらの応答が更に亢進したことから,GJICの存在は抗炎症作用があることが明らかになった.また,引張りひずみ刺激に対して振幅に応じた応答を示し,生理的刺激ではGJICが安定的に増強された一方で非生理的刺激によってGJICは不安定になることがわかった.
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