研究代表者らにより開発された弾性率自己調整金属では、変形誘起相変態により弾性率と強度が上昇する。この機能を利用することにより、外部からの力学的負荷に応答して自己強化する金属製インプラント開発の試みを開始した。本研究では、応用先の一つとして脊椎固定器具を想定し、同器具において重要な曲げ変形に対する応答について調査した。その結果、曲げ変形の内側と外側の両部位において、変形誘起ω相の形成が認められた。繰り返し曲げ変形が加わる脊椎固定器具の耐久性試験においても、表面にフレッティング疲労対策を施すことにより、弾性率自己調整金属本来の優れた疲労特性が発揮されることが明らかとなった。
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