研究課題/領域番号 |
25702028
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
樋口 ゆり子 京都大学, 学内共同利用施設等, 講師 (40402797)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ユビキチン‐プロテアソーム系 / 遺伝子発現制御 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、疾患に特有の微小環境に応答して遺伝子発現を制御できるシステムの構築により、幹細胞を利用した新規DDSシステムを開発することである。平成25年度までに、IkappaBまたはその中の必要なドメインを融合させた蛍光タンパク質が、TNFalphaによる刺激で分解されることを確認した。本年度は、まず、蛍光タンパク質の代わりに、tetリプレッサーとIkappaBとの融合体を発現するベクターを作成した。また、遺伝子発現制御の確認を目的に、tetオペレーターの下流にレポータータンパク質としてLacZ発現配列を挿入したベクターを用意した。tetリプレッサーの融合タンパク質を発現するベクターをHela細胞にトランスフェクションし、ウエスタンブロット法により、融合タンパク質が発現していることを確認した。次に、リプレッサーを発現するベクターとレポータータンパク質を発現するベクターをHela細胞に異なる比率でトランスフェクションし、リプレッサーが完全に発現を抑制するのに最適な比率を確定した。その最適比でトランスフェクションした細胞に、テトラサイクリンを添加するとLacZの発現が確認できた。同様に、両ベクターを発現させたHela細胞にTNFalphaを添加するとLacZの発現が認められた。最後に、LacZを用いて遺伝子発現を評価する場合には染色が必要であるため、経時的な遺伝子発現の評価を目的にレポータータンパク質として蛍光タンパク質mKO2を発現するベクターも構築した。さらに、遺伝子発現制御の定量評価を目的に、transposonシステムを利用して、オペレーターとLacZを発現する細胞株の作成を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、サイトカイン添加により遺伝子発現が開始することまで確認できたので、概ね順調であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子発現制御の経時的観察と定量評価を目的に、細胞株の作成を開始した。今後は、この細胞株を用いて評価を行っていく。さらに、遺伝子発現の開始が、ユビキチンプロテアソーム系による分解を介して行われていることを確認すると共に、スイッチングシステムの最適化を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
評価法の変更により、購入を予定していた機器を使用しなくても本研究を進めることができる可能性がでてきた。現在、方法の検討を進めているところである。
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次年度使用額の使用計画 |
新しい評価法に変更することによって、必要に応じて、別の機器を購入するか、または、クローニングや細胞株作成が別途必要になるため、キット購入や受託を利用することでスピードアップを図る。
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