本研究は、運動系下行路システム再構築の基盤となる脊髄介在ニューロン系の活動励起と、その可塑性を促す神経リハビリテーション法の開発を念頭に、主に健常者での研究を行った。その結果、介在ニューロンを介する間接的皮質脊髄路の伝達効率は、運動野と末梢神経の連続組み合わせ刺激(10分間)で、1時間程度増強された。この効果は、最大随意収縮力の増大や手指筋の運動パフォーマンステストの成績向上を促し、頸髄に圧迫のある1名の頸髄症患者においても、同様の効果が観察された。今後、これらの効果をさらに持続させ、脊髄障害患者への応用可能性を探る予定である。
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