研究課題/領域番号 |
25702039
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
安藤 創一 福岡大学, スポーツ科学部, 助教 (50535630)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 運動 / 認知機能 / 脳 |
研究概要 |
平成25年度は,低酸素環境下での運動が認知に及ぼす影響について検討した.実験参加者は通常環境下(FIO2:0.209)と常圧低酸素環境下(0.15)において,安静時および運動中に認知課題を実施した.運動は心拍数を140拍に維持した状態で30分間行った.認知課題には,ワーキングメモリーを評価する空間的遅延反応課題と実行機能を評価するGO/NOGO課題を組み合わせた課題を用いた.実験中は,近赤外線分光法により脳の組織酸素飽和度および動脈血酸素飽和度の測定を行った.脳および動脈血の酸素飽和度は,通常環境下と比較して低酸素環境下で有意に低下した.しかし,認知課題の正解率に低下はみられなかった.GO/NOGO課題の反応時間は,安静時に比べ運動中において両条件下で有意に短縮したが,環境条件による差はみられなかった.以上のことから,酸素濃度が15%に低下した低酸素環境下においても,通常環境下と同様に運動により認知機能が向上することが示唆された.次に,高温環境下での運動中の頸部への冷却が認知機能に及ぼす効果について併せて検討した.実験参加者は,安静時と運動中に認知課題を行い,運動は心拍数を160拍に保った状態で行った.実験条件は,1)高温環境での運動条件(温度35℃,湿度70%),2)高温環境での運動+頸部への冷却条件の2条件とした.運動中には,安静時と比較して認知課題の正解率の低下がみられたが,条件間で差はみられなかった.したがって,頸部への冷却により頸部の皮膚温は低下したがその効果は一時的であり,運動中の認知課題のパフォーマンスに影響を与えないことが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に行った研究から,低酸素環境下および高温環境下での運動が認知機能に及ぼす影響に関する知見を数多く得ることができた.これらの結果は,次年度以降の研究にもつながるものであると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
本研究は現在のところ研究計画に沿った形で遂行することができているため,引き続き継続して行っていく予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
謝金に予定していた額が少し余ったため,次年度に繰り越すこととした. 次年度以降の消耗品費として使用する予定である.
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