研究課題/領域番号 |
25702041
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
宮崎 充功 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 准教授 (20632467)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | スポーツ生理学 / スポーツ生化学 / タンパク質代謝 / 骨格筋肥大 / 骨格筋萎縮 / カケキシア |
研究実績の概要 |
本研究課題においては、骨格筋におけるタンパク質代謝制御の分子機構について明らかにすることで、マイオペニア(筋肉減弱症)の発症要因を解明することを最終的な目的として研究を実施している。平成26年度においては、具体的には以下の2つの研究課題について主体的に実施した。 1)タンパク質合成の促進を介した骨格筋肥大制御機構の解明と筋萎縮耐性の獲得 2)マイオペニアを誘発する全身性および局所因子の探索とその機能解析 上記課題1)については、骨格筋培養細胞(マウス骨格筋由来C2C12 myoblasts)を用い、細胞内タンパク質合成に特に重要な役割を果たしていると考えられるmTOR(mammalian target of rapamycin)経路に関する検討を中心に解析を進めた。またmTORの上流因子であるAkt遺伝子のノックアウトマウスを導入し、in vivoでの骨格筋タンパク質合成促進過程におけるAkt/mTOR経路の役割を解析した。さらに課題2)については、マイオペニアのうち特に癌性悪液質(カケキシア)に着目し、ガン細胞(マウス大腸ガン由来細胞C-26)の移植に伴って誘発される骨格筋萎縮・弱化の誘導機構について解析を行った。その結果、癌性カケキシアの発症に伴い筋タンパク質分解経路が強く活性化されるだけでなく、運動療法介入に伴う筋タンパク質合成が著しく抑制されていることが明らかとなった。これは、今後のマイオペニア発症防止のための介入戦略を開発する上で、極めて貴重な基礎データとなるものである。現在、この過剰なタンパク質分解の促進およびタンパク質の合成不全を誘導している因子を探索するため、発現遺伝子およびタンパク質の網羅的解析を行い、候補因子の機能解析を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付申請を行った際の研究実施計画としては、遺伝子改変動物を用いた骨格筋タンパク質合成促進機構を解明し、そこからさらに筋萎縮耐性獲得の可否を検討することまでを目標の一つとして挙げていた。現在、骨格筋タンパク質合成の分子基盤解明に関する検討は順調に進んでいるものの、筋萎縮耐性獲得の可否を検討するまでに至っていない。この研究遂行の若干の遅延の要因としては、遺伝子改変動物使用に関する動物実験委員会の審査や実験施設への導入、また実験動物の繁殖について、想定以上に時間を要したことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
上に記載した通り、遺伝子改変動物使用およびその繁殖作業に想定以上の時間を要したため、若干の計画遂行の遅延が発生している。しかし現在は、使用予定の遺伝子改変動物全ての使用が動物実験委員会より承認されており、円滑な研究遂行が可能な状況に改善されている。今後の本研究課題の推進方策としては、計画通りに遺伝子改変動物を用いた課題を遂行し、必要に応じて動物繁殖に関わるサービス(スピードコンジェニックサービスの委託など)を利用する可能性もある。また円滑な研究課題遂行のため、新規因子のスクリーニングのための網羅的解析などについても、必要に応じて専門業者への解析委託などをこなうことを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題遂行のために導入を予定していた複数種類の遺伝子改変動物について、購入・譲渡および施設への搬入については、事前に動物実験に関する倫理委員会の許可および動物実験施設からの受け入れ承認を得る必要がある。平成26年度に導入予定であった実験動物について、所属研究機関の動物実験委員会からの承認に時間要したこと、および動物繁殖業者によるマウス繁殖作業が遅延したことにより、当該年度内における納品が出来なかった。上記の理由により、実験動物購入のための予算として次年度使用額が生じた。 また外部委託を行う予定であったタンパク質網羅的解析について、研究計画の若干の遅延により、年度内のデータ納品が困難な状況であった。そのため、年度を改めた後に委託解析を行うこととしたために、次年度使用額が計上された。
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次年度使用額の使用計画 |
現在は、使用予定の遺伝子改変動物全ての使用が動物実験委員会より承認されており、円滑な研究遂行が可能な状況に改善されている。昨年度の使用予定項目に則り、平成27年度予算として使用予定である。
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