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2015 年度 実績報告書

マイオペニア(筋肉減弱症)を防止する包括的介入戦略の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25702041
研究機関北海道医療大学

研究代表者

宮崎 充功  北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 准教授 (20632467)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワードスポーツ生理学 / スポーツ生化学 / タンパク質代謝 / 骨格筋肥大 / 骨格筋萎縮 / 悪液質 / 身体運動
研究実績の概要

本研究課題においては、不活動や加齢、さらには種々の疾患に起因する全身的な代謝障害症候群の結果として惹起されるマイオペニア(筋肉減弱症)の発症要因を解明し、最終的には骨格筋量減少・弱化に伴う身体機能低下を防止する介入戦略の開発を目指している。平成27年度においては、具体的には以下の3つの研究課題を中心に研究活動を遂行した。
1)タンパク質合成の促進を介した骨格筋肥大制御機構の解明と筋萎縮耐性の獲得
2)マイオペニアを誘発する全身性および局所因子の探索とその機能解析
3)身体運動による筋タンパク質代謝制御を基軸とした包括的マイオペニア予防戦略の開発
上記課題1)については、筋細胞内タンパク質合成の促進について重要な役割を果たすAkt/mTOR (mammalian target of rapamycin)経路を中心に、遺伝子改変動物を用いた解析を進めた。また課題2)については、特に癌性悪液質(カケキシア)に伴う筋肉減弱症を疾患モデルとして採用し、原発性疾患に伴い二次的に誘導される筋肉減弱症の誘導因子を明らかにするため、マイクロアレイ法やプロテオミクス手法を用いた網羅的解析を行った。さらに課題3)では、筋肉減弱症の発生や進行を防止するための介入方策として全身的な持久性運動を採用し、事前の運動介入の有無がマイオペニアの進行や骨格筋タンパク質代謝に与える影響について、現在まで解析を行っている。これまで上記の研究課題については、原著論文としての発表を行うための準備を進めており、現在2編の論文が査読中となっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究課題の最終目標は、マイオペニアを誘導する局所および全身性の因子を明らかとし、骨格筋タンパク質代謝能の改善を通じてマイオペニアの発症や進行を防止する介入戦略を開発することである。これまでに遂行された研究から、遺伝子やタンパク質レベルにおける網羅的解析を通じて、マイオペニアを誘導する可能性のある複数の候補因子が同定されつつある。昨年度は、その候補因子のin vitroおよびin vivoでの機能解析を進めることを最大の目標として検討を行った。現在研究の進捗は若干遅れていると判断されるが、その遅延要因としては、特にin vivo機能解析を行うために導入した遺伝子改変動物の繁殖状況が遅れている点が挙げられる。特に候補因子の一つとして同定したDdit4遺伝子のノックアウトマウスなどについては、想定と異なり胎生致死の可能性が高く、Conditionalノックアウトモデルへの変更を含めて研究計画の見直しが必要となった。以上のように、主に遺伝子改変動物を用いた表現系解析に多くの時間を要しているため、当初の計画から遅れが見られている。

今後の研究の推進方策

上記したように、特に遺伝子改変動物の使用、繁殖、表現系解析に予定以上の時間を要しているため、研究計画の遂行に関して若干の遅延が認められる状況である。特に候補因子の一つとして同定したDdit4遺伝子のノックアウトマウスなどについては、現在まで交配を進めているが遺伝子ノックアウトの個体は得られておらず、当初の想定と異なり胎生致死の可能性が高い。このモデル関しては、Conditionalノックアウトモデルへの変更を含めて研究計画の見直しを進める。また今後の研究推進方策としては、当初より予定していた解析を進めるとともに、必要に応じて動物繁殖に関するサービス(スピードコンジェニックサービスの外部委託)等を利用する可能性もある。また円滑な研究遂行のため、新規因子の網羅的探索に関わる解析(DNAアレイ、タンパク質アレイ、プロテオミクス解析等)については、予算内で遂行可能な場合は、積極的に解析委託を行うことが考えられる。

次年度使用額が生じた理由

当該年度に使用を予定していた費用のうち、特に遺伝子改変動物の繁殖および機能解析に想定以上の時間を要したこと、またプロテオミクス手法を用いた癌性悪液質誘導因子の新規同定のための受託解析が当初予算よりも安価に遂行できたことなどから、次年度使用額が生じている。

次年度使用額の使用計画

使用計画については、これまでの検討から同定されたマイオペニア誘導候補因子の機能解析を詳細に進めるため、新たな遺伝子改変動物モデルの導入を含めて研究計画の変更を予定している。さらには、予定している解析を進めるために必要とされる物品費、網羅的データ取得のための委託解析費用に加えて、研究遂行最終年度であることから原著論文発表のための投稿料、発表内容のオープンアクセス化費用等に支出を予定している。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 冬眠中のクマはなぜ寝たきりにならないのか?2016

    • 著者名/発表者名
      宮崎充功
    • 雑誌名

      BEARS JAPAN

      巻: 16 ページ: 26-27

  • [雑誌論文] Altered signaling pathway governing protein metabolism in skeletal muscle of the Japanese black bear during hibernation2015

    • 著者名/発表者名
      Mitsunori Miyazaki, Michito Shimozuru and Toshio Tsubota
    • 雑誌名

      THE FASEB JOURNAL

      巻: 29 ページ: LB698

    • DOI

      10.1096/fj.1530-6860

  • [学会発表] Regulation of protein metabolism and muscle mass in hibernating bears: an attractive model of muscle atrophy resistance.2016

    • 著者名/発表者名
      Mitsunori Miyazaki, Michito Shimozuru and Toshio Tsubota
    • 学会等名
      24th International Conference on Bear Research and Management
    • 発表場所
      Anchorage, AK, USA
    • 年月日
      2016-06-12 – 2016-06-16
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Biological Strategy for Muscle Mass Reservation in Hibernating Animals2016

    • 著者名/発表者名
      宮崎充功
    • 学会等名
      第4回 骨格筋生物学研究会
    • 発表場所
      松本大学、松本市
    • 年月日
      2016-03-04 – 2016-03-06
  • [学会発表] 癌性カケキシアに伴う骨格筋の遺伝子発現変化とタンパク質代謝制御2015

    • 著者名/発表者名
      宮崎充功
    • 学会等名
      第2回日本基礎理学療法学会
    • 発表場所
      神奈川県立保健福祉大学、横須賀市
    • 年月日
      2015-11-14 – 2015-11-15
  • [学会発表] 骨格筋肥大適応におけるmTOR活性の制御機構 ~Akt1 knockoutマウスを用いた検討~2015

    • 著者名/発表者名
      森谷伸樹、宮崎充功
    • 学会等名
      第2回日本基礎理学療法学会
    • 発表場所
      神奈川県立保健福祉大学、横須賀市
    • 年月日
      2015-11-14 – 2015-11-15
  • [学会発表] 癌性悪液質に伴う骨格筋タンパク質代謝能の変化2015

    • 著者名/発表者名
      宮崎充功
    • 学会等名
      第2回日本サルコペニア・フレイル研究会
    • 発表場所
      東京大学、東京
    • 年月日
      2015-10-04 – 2015-10-04
  • [学会発表] 癌性カケキシアによる運動誘発性骨格筋タンパク質合成能の低下2015

    • 著者名/発表者名
      宮崎充功
    • 学会等名
      第70回日本体力医学会大会
    • 発表場所
      和歌山県民文化会館、和歌山市
    • 年月日
      2015-09-18 – 2015-09-20
  • [学会発表] Hibernating bear muscle shows slow-fiber shifting and mitochondrial biogenesis despite prolonged physical inactivity2015

    • 著者名/発表者名
      Mitsunori Miyazaki, Michito Shimozuru and Toshio Tsubota
    • 学会等名
      Cell Symposia: Exercise Metabolism
    • 発表場所
      Amsterdam, The Netherlands
    • 年月日
      2015-07-12 – 2015-07-14
    • 国際学会
  • [学会発表] Altered signaling pathway governing protein metabolism in skeletal muscle of the Japanese black bear during hibernation2015

    • 著者名/発表者名
      Mitsunori Miyazaki, Michito Shimozuru and Toshio Tsubota
    • 学会等名
      Experimental Biology 2015
    • 発表場所
      Boston, MA, USA
    • 年月日
      2015-04-01 – 2015-04-01
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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