研究課題/領域番号 |
25702042
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
一之瀬 真志 明治大学, 経営学部, 准教授 (10551476)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 運動生理学 / 循環調節 / 血圧 / 末梢反射 / 末梢血流量 |
研究実績の概要 |
動的運動時には,活動筋での代謝亢進に対応するように活動筋への血流量が増加する.活動筋血流量の増加は,筋への酸素供給を増やすとともに,活動筋で産出された代謝産物を除去することや発生した熱を体外へ放散するためには不可欠である.活動筋への酸素供給量の不足や筋内での代謝産物の蓄積は,持久性運動パフォーマンスを低下する要因と考えられている.例えば,活動筋への血流を阻害すると運動の持続可能時間は顕著に短縮する.しかし,この運動パフォーマンス低下は活動筋血流量が減少した結果であり,通常の運動中において活動筋血流量が運動パフォーマンスの制限因子であるかは分かっていない.この点を明らかにするためには活動筋血流量を選択的に増加した際に運動パフォーマンスが向上するのかを調べる必要がある.平成26年度では,動的運動時における活動筋血流量の増加が持久性運動パフォーマンスに及ぼす影響の解明を目的とした. 被験者(8名)は活動肢側の下腿を圧負荷装置内に挿入した状態で,最大負荷の80%での動的足底屈運動を行った.運動は,圧負荷装置に-70mmHgの陰圧を負荷する条件と陰圧負荷を行わない条件(コントロール)で実施した.また,運動は,疲労困憊に至るか,継続時間が30分になるまで実施した.陰圧負荷条件では,コントロールと比較して活動肢血流量と活動肢血管コンダクタンスが増加した.また,陰圧負荷条件において,全被験者の運動持続可能時間が延長した.さらに,心拍数,平均血圧,心拍出量,換気量,酸素摂取量は,陰圧負荷条件において低下した.これらの結果から,通常運動時において,活動筋血流量は循環,呼吸反応の重要な決定要因であるとともに,持久性運動能力の制限因子の一つであることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究計画は,大きな変更や問題がなく進めることが出来た.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は,平成25年度から平成27年度までの3年計画を予定している.平成27年度においては,平成25, 26年度の研究結果を踏まえて発展的な研究を実施する予定である.また,本年度は研究期間の最終年度にあたることから,研究成果のまとめやこれまでに得られている研究成果の発表にも注力したい.現時点では,平成27年度の研究計画を進めるうえで大きな問題はみあたらない.
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次年度使用額が生じた理由 |
学会活動のための費用については,所属機関からの補助金を利用することが出来たため旅費の支出が少なくなった.また,当初の予定よりも研究打ち合わせが少なくなったため,計上していた旅費の使用額も少なくなった.人件費・謝金については,予備実験・本実験を当初の予想よりも円滑に進めることができたため,実験日数および被験者数が少なくなり,その分当該費用が少なくなった.その他として,印刷,コピー費用などが当初計画よりも少額であった.
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は,研究計画の最終年度であることから,研究成果発表のための学会参加や論文発表を積極的に行う予定であり,このための旅費等として使用することを計画している.また,研究打ち合わせを行う必要もあるので,この費用にも充当する.さらに,運動負荷装置としてハンドグリップ張力測定装置の導入が必要になる可能性があることから,この費用にも充てる予定である.
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