研究課題
Hesr1/Hesr3に関しては、骨格筋幹細胞特異的にHesr1/Hesr3をコンディショナルに欠損可能なマウスの交配および、解析をスタートする事ができた。まだ十分な数の解析は出来ていないが、成体骨格筋幹細胞の維持において、Hesr1/Hesr3が必須であることを示す結果が得られている。また、Hesr1はin vitroにおいて、強い分化抑制があるのに対して、Hesr3ではそのような作用が弱い。そのため、in vivoでin vitroの結果には乖離があったが、myogenin-luciferaseを用いた解析や、海外学会で仕入れた情報をもとに、Hesr1,Hesr3に加えてHes1の関係性を視野にいれた検討をスタートすることができた。この三つの分子の関係性を明らかにする事ができれば、骨格筋館細胞の本質的な未分化性維持機構に迫れると期待できた。カルシトニン受容体の解析に関しては、当該年度において大きな進展があった。それは、カルシトニン受容体-cAMP-PKA/Epac経路を介して、骨格筋館細胞のニッチへの局在を制御している事を明らかにした事である。加齢に伴い、骨格筋幹細胞のニッチへの局在が変化する事が約40年前に報告されていることから、加齢に伴いカルシトニン受容体シグナルが減少し、その結果骨格筋幹細胞のニッチへの局在に影響を及ぼす仮説をたてる事ができた。
2: おおむね順調に進展している
Hesr1/Hesr3に関しては、コンディショナル欠損マウスの作成及び、解析はおおむね順調にかつ期待していた研究成果が得られている。Hesr1/3の標的として期待した分子、Nrf2のin vitroの解析は期待していた結果であったが、Nrf2欠損マウスの結果は正常マウスと全く違いがなかったため、Hes1/3によるMyoDやmyogeninの直接制御を中心に行う事にし、それを示唆する結果が得られている。カルシトニン受容体に関しても、おおむね順調にすすんでおり、カルシトニンシグナルとニッチとの関係など、予想外の研究成果を得る事ができている。
Hesr1/Hesr3に関しては、コンディショナル欠損マウスの解析を中心に、Hesr1, Hesr3, Hes1の関連性を明らかにすることで、骨格筋幹細胞の未分化性維持機構の本質に迫る。また、カルシトニン受容体シグナルに関しては、cAMP-PKAを介した静止期維持メカニズムとヒストンメチル化パターンの解析を中心に行う。一方、カルシトニン受容体-cAMP-PKA/Epacを介した骨格筋幹細胞のニッチへ局在と老化に伴う骨格筋館細胞のニッチ外への局在との関連性を明らかにする。
作成予定にしていた遺伝子改変動物が、海外の研究者から頂いたために、作成費用が安価にすんだ。研究室スペースの問題で、フリーザー等をおく場所が今年度は確保できなかった。
研究室スペールが確保できたため、試薬・サンプル保管費用にあてる予定。また、昨年度購入した顕微鏡の解析ソフトの充実にも使用させて頂く予定。
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Stem Cells
巻: in press ページ: in press
Development
巻: 142 ページ: 51-61