研究課題
動物は自然界において、その場の状況に応じてた適切な行動を選択し、環境の様々な変化に対して迅速に行動を切り替える必要がある。これらの行動の制御は、多くの脳領域を連関する複雑な神経のネットワークが相互作用することによって発現すると考えられているが、その詳細な仕組みはほとんどわかっていない。視床のいくつかの神経核で構成される髄板内核は、これまで主に痛覚を媒介し、感覚機能を統御する脳領域であると考えられていたが、その役割はよく理解されていなかった。一方で、この神経細胞は、運動の制御や認知機能に関わる線条体と連絡することから、我々の研究グループは、視床髄板内核はこのような高次な脳機能に関わる可能性が高いと仮説を持ち、この検証のため、特定の神経回路の機能を操作する技術を利用して、視床髄板内核から線条体へ神経連絡する回路の機能を調べた。その結果、視床-線条体神経路の機能を選択的に除去および機能抑制をした動物において、学習や経験に基づく行動を実行する際にこの神経路が重要な役割を果たすことをオペラント行動課題を用いた行動実験によって明らかにした。また逆転学習課題などの試験によって、刺激やルールの変更に伴って行動を切り替える際の柔軟性を促進することを見出した。髄板内核はパーキンソン病等の脳神経疾患で変性することが知られており、今回の研究成果は、神経変性に関わる疾患の病態機序の解明や治療薬の開発に結び付くと考えられる。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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