感情の認知や社会的制御の方略は加齢にしたがって変化する。感情制御や対人認知は主に前頭前皮質、扁桃体、頭頂接合部等の働きに依る。しかし言語の社会的使用の加齢変化を脳神経科学的に検討する試みはまだほとんど行われていなかった。本課題は、高齢者の言語コミュニケーションにおける肯定的感情語の記憶定着率がPFCの背内側部(dorsomedial PFC)の灰白質密度によって説明できることをVBM(voxel-based morphometry)解析によって明らかにし、高齢者との言語コミュニケーションにおいて肯定的な感情表現を援用することの有用性を示唆した。
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