本研究において報告者は、第二次世界大戦とその直前期におけるアフリカの言論空間における「日本観」と日本の言論空間に表出した「アフリカ観」の検討を日本とアフリカ双方の史料に基づきおこなった。新聞・雑誌等のメディアに加え、官民による調査報告書等も参照し分析を進めた結果、同時期のアフリカの言論メディアが英国植民地当局の厳しい検閲のもと「日本」を敵視する論調に報道内容を一気に変更した一方、日本の言論メディアは、自国の膨張主義を正当化する意図で、アフリカにおける「米英の帝国主義」を否定し、ビルマ戦線に派遣されたアフリカ人兵士については一貫して「米英の帝国主義」の被害者として扱ったことが明らかにされた。
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