研究実績の概要 |
本年度は、過年度より進めているスカンディナヴィア全土のルーン石碑のデータ整理ならびに最新研究文献の検討を継続するとともに、積極的な成果報告につとめた。 活字成果としては、編著『北西ユーラシアの歴史空間』を刊行しユーラシア規模でロシアの生成を論じることの意義を問うた「序論」と、ロシアに関連するルーン石碑の検討からロシア生成に関わったヴァイキングの活動を論じる専論を寄稿した。以上に加えて、今年度は口頭報告を多くこなした。6月の「ブリテン、北欧、ユーラシア」では、クヌートの活動をユーラシア西部における経済動態の変動の中に位置付け、3月の「差異化のモニュメント」では、イェリング・モニュメントの近年の発掘成果に基づいたイェリング王権の展開に関する新見解を提供した。7月にCatherine Holmes(Oxford)とともにDecoding the Historical Sources on Byzantiumを、2月にHarald Mueller(Achen)、Georg Strack(Munich)、Jessika Nowak(Max Planck)、Thomas Smith(Dublin)とともにMedieval Papacy: Governance, Communication, Cultural ExchangeならびにTexte, Gelehrte, Politik im Zeitalter der Renaissanceを開催し、司会と口頭報告を行った。また、史学史的研究として、第66回日本西洋史学会においてパネルを組織し、ヨーロッパ史研究と日本中世史研究を架橋した平泉澄についての口頭報告を行った。これらはいずれも活字成果として世に問われる予定である。
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