本研究では、スカンディナヴィアならびにその関連地域に分布するルーン石碑の社会的機能を中心に検討することで、(1)デンマーク・ノルウェー・スウェーデン三国の歴史的形成過程の比較、(2)スカンディナヴィア影響圏におけるルーン石碑の建立の意味、(3)そのようなルーン石碑のあり方から見たスカンディナヴィア人歴史空間の再構築を試みた。その結果として、ルーン石碑の分布の粗密や形状の多様性は、石碑を建立した在地有力者らの政治的メッセージとして読み解くことが可能であり、そのように読み解いた場合、他地域に比べ富を効果的に蓄積したデンマーク・イェリング王権が優位な立場で展開したと言える。
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