研究課題/領域番号 |
25704013
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
木山 克彦 北海道大学, スラブ研究センター, 特任助教 (20507248)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 靺鞨 / 渤海 / 女真 / 土器研究 / 地域間交流 |
研究概要 |
北東アジアにおける古代から中世にかけての集団の統合、瓦解、再編の過程と周辺地域に及ぼした影響について、考古資料の検討から、実証的に跡付けることを目的とする。具体的には、靺鞨、渤海、女真を対象とし、各時代における地域集団の様相と交渉関係、次代への継承関係を考古学的に解明しようとするものである。 分析対象としては、当地研究において質・量ともに分析に耐え、かつ可塑性の高さから地域伝統の把握と地域間関係を捉えうる土器群としている。また、当地域では、他の考古遺物に対する検討を実践する上でも不可欠な広域の土器編年すら存在しないことが大きな問題であり、その確立も目指している。 平成25年度は、ロシア科学アカデミー極東支部において靺鞨期の土器群を分析を実施した。併行して野外調査を行う予定であったが、ビザ発給手続きが遅れ実施できなかった。一方で、当地での資料分析は順調に進んだ。特に、ロシア連邦極東大学博物館の収蔵資料調査では、ロシア沿海地方における初期鉄器時代~靺鞨への移行段階の資料を確認できた。これまで、当地における靺鞨への移行の様相は全く不明であったことから、大きな成果といえる。その成果は12月にロシア研究者を交えた際研究集会での発表機会を設け、その内容の一部を刊行することができた。また申請者自身の極東初期鉄器時代から靺鞨期の資料実見・分析成果も国内学会、同上の国際研究集会で発表し、その成果概要も刊行している。現在は、詳細を纏め改めて論文として刊行する準備を進めている。 また本年までのロシア沿海地方での遺跡調査の概要発表と報告書の刊行も行った。同報告書は、当該研究の基礎として位置づけられるものと考えている。 またロシア極東の初期中世諸文化と北海道の文化との関係に関する市民向け講座も実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロシアでの調査研究が招聘状取得が遅れ、当初の予定期間を短縮したため、実見・分析できた資料は減少することとなった。一方、ロシア研究者を招聘しての国際研究集会を実施することができ、彼我の研究現状や方法論に関する意見交換が可能となり、その成果の一部も出版することができ、当初研究計画と変更はあったものの大きな成果を挙げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
25年度計画でロシアでの調査期間が短縮する結果となったため、計画していた分析には遅れが生じた。この分は、次年度に2ヵ年分の研究計画を実施するようにしたい。但し、研究計画にいれていた野外調査の実施がロシア科学アカデミーの内部の状況変更でやや難しくなっている。実施に向けて交渉しているが、不可能であれば、各研究機関の収蔵資料の分析量、分析期間を増やすことによって研究目標を達成したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画では、ロシア沿海地方での資料調査実施と並行して、野外調査を実施する予定であった。その為、交付決定の通知を受けた4月の段階から先方との交渉を続け了承を得るとともに招聘状取得手続きを順調に進めていた。招聘状を発給するパスポート・ビザ管理局において遅れが生じてしまった(最終的に遅れの原因は不明)。最後まで先方機関と日程調整を行ったものの、結果的に野外調査の実施が不可能となり、調査期間を短縮することとなった。野外調査において具体的に必要な機器購入を考えていたが、調査ができなかったため、機器購入を延期することとした。以上の状況により当初執行を予定した金額が減じた。 研究計画にいれていた野外調査の実施がロシア科学アカデミーの内部の状況変更でやや難しくなっている。現在も、実施に向けた交渉しているが、昨年度同様不可能であれば、各研究機関の収蔵資料の分析量、分析期間を増やすことによって研究目標を達成するとともに、計画変更によって増加した研究費を執行する。また野外調査用機器の購入を考えていたが、野外調査ができない場合は、室内資料分析に係る機器の購入に変更し、研究目標の達成を図る。
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