研究課題
本研究の目的は、8000~7000年前の日本列島北辺域(アムール下流域-サハリン-北海道)における考古学的文化の変遷過程と配置関係を解明し、これまでよくわかっていなかった域外接触構造や社会構造に関して具体的に論究することにある。日ロ両国の遺跡情報をできるだけ均質化した議論を目指す。今年度に実施した調査研究は、以下の通りである。1.サハリンにおける新石器時代遺跡の調査:サハリン国立大学と共同で、サハリン島西海岸遺跡群(ポリチェ遺跡、イリンスキー遺跡、ウスチアインスコエ遺跡)の発掘調査、踏査を実施した。新石器時代前期遺物包含層の堆積環境、遺跡埋没過程の調査を行った。あわせて、サハリン国立大学考古学教育博物館においてプガチョボ遺跡で新たに出土した石刃石器群の観察記録調査を行い、北海道縄文早期並行期のサハリン南部における新情報を入手した。2.研究成果の発表・報告:過去4年間にわたり、日ロ両国で実施してきた調査結果と分析結果にもとづき、国内外で研究成果の発表を行った。本研究により、縄文海進最盛期(最温暖期)いたるまでの完新世初頭の全体的な温暖化傾向のなかで、暦年8200年前の世界的な寒冷化が縄文社会に与えた影響の大きさを明らかにした。亜寒帯性と温帯性の自然環境が隣り合う日本列島北辺域における温帯性生活構造を有する縄文社会集団の適応戦略について解明することができた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proceedings of the 31st International Abashiri Symposium: Tradition and Culture of North Pacific Rim Area 1: Sakhalin
巻: なし ページ: 7-12
国立歴史民俗博物館研究報告
巻: 202 ページ: 101-135
北からの文化の波―北海道の旧石器からオホーツク文化まで―
巻: なし ページ: 19-26