本研究の目的は、近隣の居住環境が住民の健康にどう影響するのかを、日本社会を対象にして解明することにある。第一に、全国的なデータを用いてマルチレベル分析をおこない、場所と健康の結びつきが日本全体として観察されることを、身体活動や健康関連QOLなどの側面について確認した。また、近隣騒音と睡眠の関連性を分析することで、場所と健康との結びつきが一様ではなく、時間的に変化する動態的な関係であることを示した。さらに、近隣研究に不可欠な社会調査個票データや国勢調査小地域データをめぐる方法論的な課題に取り組み、インターネット調査の研究利用の可能性を提示した。
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