本研究は「高碕達之助文書(東洋食品研究所蔵)」の整理・分析を通じて、1950年代における日本の経済外交の展開を再検討した。具体的には高碕達之助が戦後に関与した各種事業を通じて(1)外資導入、(2)アジア外交、(3)地域性、の三つの観点から日本の経済外交を捉え直すことを目指した。本研究の成果としては、第一に、満洲の製鉄技術を日印鉄鋼共同開発事業の実態を明らかにし、第二に日中民間貿易の展開とLT貿易の前史にあたる時代を分析した。そして、雑誌記事を中心に関西財界と経済外交との関わりについて解明した。以上の分析を通じて、「過渡期」と評される1950年代における日本の経済外交を民間の立場から明らかにした
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