研究実績の概要 |
2016(平成28)年4月に発生した熊本地震に伴う研究の中断に伴い、一部の研究補助金について研究実施期間を延長して2017(平成29)年度に執行することとなった。最終年度となる延長年度の研究補助金残金は231,448円であった。 主として、本研究実施期間中に出版した研究代表者の単著『毛沢東の対日戦犯裁判―中国共産党の思惑と1529名の日本人』(中央公論新社、中公新書2406、2017年11月)の研究成果報告のための出張経費として利用した。 具体的には2017年5月3日から9日まで、これまでも研究交流を積み重ねてきた清華大学日本研究センター(中華人民共和国北京市海淀区)に出張を行い、同研究センターが実施する集中講座において、「2017年の日中関係と歴史認識問題」というタイトルで研究報告を行い、前掲拙著の内容を紹介しつつ、習近平政権による日中民間経済交流の文脈における「対日外交経験」の積み上げが、2015年以降の対日外交姿勢の軟化につながっていることを指摘し、さらに本研究で解明に取り組んだ1960年代の中国の対日政策機関の「対日外交経験」の積み上げについても紹介を行った。 なお、2012年9月の日本政府による尖閣国有化以降、日中関係は劇的に悪化し、第1期習近平政権時代(2012-2017)には、日本人研究者による現地中国での研究交流・史資料調査の実施について極めて厳しい制約が続いてきたが、研究代表者は清華大学日本研究センターの招待を利用しながら、困難ながらも現地での資料調査・収集を進めてきた。本年度の中国出張においても、「中国軍事書店(解放軍出版社の併設専門書店)」や「万聖書園(清華大学に隣接する人文・社会科学系の専門書店)」などで資料調査・収集を行うことができた。
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