戦後日本の大学入学者選抜制度においても「意欲・能力・適性等の多面的・総合的な評価に基づく入試」が,戦後直後の進学適性検査(1948~54年),及び,能研テスト(1963~1968年)と二度経験済みであることに気づく.だが,その時のデータや経験を学問的に十分に蓄積し,理論構築しているとは言いがたく,その蓄積と理論構築が本研究の狙いとするところである.また,大規模大学入学者選抜制度は言うまでもなく失敗しない制度設計が非常に重要である.そこで本研究では,第一に,上記の動向を踏まえた上で,日本における過去の大規模入学者選抜制度の未公開・未活用データを用い,「意欲・能力・適性等の多面的・総合的な評価に基づく入試への転換の促進」がもたらす政策効果について計量歴史社会学的分析を行い,第二に,大規大学入学者選抜制度についての制度的妥当性の理論構築を行うことを目的としている。取り組み4年目は,能研テストの昭和39年(高校2年生)および昭和40年(高校3年生)の連続受験者852人のデータを整理し,論文投稿を行い、無事、採択されるに至った。テキストマイニングデータについては、1987年から2016年データまで30年分が揃った。分析にいたるよう、そのデータ整備を行った。
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