研究課題
コミュニケーションを支える認知の発達にかかる客観的な定量評価法を探索するため,(1)コミュニケーションを支える認知の脳機能解析と検査手法の改良をおこなうとともに,(2)安静状態における脳オシレーション(脳の自発活動を反映する基礎律動)について機能局在を検討した.その結果,(1)健常成人7名中6名と定型発達児3名において,ヒト声認知に関連して脳磁場反応が運動野および体性感覚野,聴覚野,聴覚連合野付近に由来することを確認した.また,(2)課題中と閉眼時の安静時における脳磁場反応について次元削減法を用いてその相似性および相違性を検討したところ,視聴覚統合と自発活動の分散を最大化する主成分を検出し,Temporal Pole 領域を中心に Orbitofrontal Cortex (OFC) や Anterior cingulate cortex (ACC),島皮質との間に機能的なγ帯域のネットワークが存在することを指摘した.本研究は,生来の脳の機能不全とある特定の認知や精神活動にみられる脆弱性について識別の可能性を示唆したといえる.今後は,発達や学習がもたらす脳機能を定量評価する指標への応用,ひいては特別なニーズをもつ子どもの個別支援計画作成にかかるアセスメントへの活用の点で発展が見込まれる.なお,上記成果の一部は,学術誌および学術会議にて公表され,教員免許更新講習においても子どもの変化についての理解を深めるための最新知見として紹介された.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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臨床神経生理学.
巻: 43 ページ: 348-348